ギリシャの債券買い戻し案が浮上、債務削減進まず=ユーロ圏高官

ユーロ圏の高官はギリシャの債務を
削減する新たな方法を検討している。

改革が進まず、リセッションが続いていることから
債務削減目標の達成が困難な情勢であるため。

ギリシャは2020年に債務を国内総生産GDP)比
120%に圧縮することを目指している。

しかし、ギリシャ政府の見通しでは
2013年もマイナス成長。
債務はGDP比179.3%に膨らむと予想されている。

欧州中央銀行(ECB)のアスムセン専務理事はドイツ紙に
「現時点でギリシャの債務水準は2020年までに目標の
120%を大幅に上回る」との見通しを示し、目標を
達成するためにギリシャが自発的な債券買い戻しを
実施する可能性があると述べた。

国際通貨基金IMF世界銀行年次総会のために
東京に滞在しているあるユーロ圏当局者は、
ギリシャが買い戻し資金を欧州中央銀行(ECB)
からでなく、欧州安定メカニズム(ESM)から
借り入れることが可能と述べた。

ギリシャ債がかなり割引された水準で取引されているため、
ESMからの借り入れは、1ユーロにつきギリシャの債務を
1.5ユーロ圧縮する計算という。

別のユーロ圏当局者は、ESMからの借り入れは
ギリシャの債務を増やすことになると指摘し、
別の方法を提示した。

ひとつは「ESMが銀行に直接資本注入できるようになった時に、
銀行の資本増強向けの融資の一部を株式に転換する」こと。

ただ、ESMの稼働予定を踏まえると、
実施できるのは先になるのが難点という。

もうひとつは、民営化で得た資金で債券を買い戻す案。

「民営化プロセスがようやく始まった。数十億ユーロを
買い戻しに充てられる。これは比較的早期に実施可能だ」
と当局者は述べた。

IMF・ECB・欧州委員会が3月にまとめた
ギリシャ債務に関する調査報告書では、2020年までに
得られる民営化収入は450億ユーロで、
うち120億ユーロが2012〜2014年に確保できる見込み。