米共和党が「財政の崖」協議で新提案、税制改革通じた増収策など柱

共和党は3日、年明けに減税失効と歳出の自動削減が重なる
「財政の崖」の回避に向け、増収を目指す税制改革や大幅な
支出削減策を盛り込んだ提案を行った。

財政赤字の削減規模は今後10年間で2兆2000億ドルで、
共和党が正式に「財政の崖」回避策を提示したのは初めて。

しかし、共和党の提案はオバマ政権が求めている富裕層向け増税
柱とする対策とまったく異なっており、ホワイトハウス共和党
提案を受け入れない考えを示した。

ただ、共和党側も案を提示したことで、「財政の崖」回避に向けた
交渉が本格化する可能性がある。

共和党のベイナー下院議長は同党下院指導部と共同で
オバマ大統領に書簡を送り、「このフレームワーク
合意できれば、われわれはこれらの改革をどのように
構築するか議論を始める用意がある」との考えを示した。

共和党の提案は、複雑な税制の見直しを通じて今後10年間に
8000億ドルの新たな税収を確保する一方、ヘルスケア関連コストを
10年間に6000億ドル削減することが柱となっている。

ヘルスケアコストの削減幅は、オバマ政権が
提案している額を2500億ドル上回る。

一方、オバマ政権が求めている富裕層を対象とした
増税には引き続き反対する立場を示した。

そのほか、義務的支出プログラムの変更で3000億ドル、
連邦政府による社会保障給付プログラムの増加幅を
消費者物価指数に連動させる措置で2000億ドル、
国内支出プログラムの節減で3000億ドルの支出を削減し、
合計2兆2000億ドルの財政赤字削減を見込んでいる。

ホワイトハウスの計算方法に基づけば、共和党の提案は、
今後10年間に年間の財政赤字を4兆6000億ドル削減することになる。

これは、オバマ政権が提案している4兆3600億ドルと
さほど変わらないが、その中身は大きく異なっており、
民主党の反発を招くのは必至とみられる。

ホワイトハウスの広報責任者ダン・ファイファー氏は
共和党がきょう公表した書簡はバランス面での条件を
満たしていない」とし、「むしろ、富裕層に対しては減税し、
中間層に負担を強いる内容になっている」と批判した。