米金融支援のコミットメントは当面必要、労働市場に緩み=FRB議長

米連邦準備理事会(FRB)のイエレン議長は31日に講演し、
FRBによる経済、とりわけ労働市場の支援に向けた「異例の」
コミットメントは当面必要との考えを示した。

議長は米労働者3人の実例に言及し、FRBの低金利
及び資産買い入れ政策の正当性を強調。経済と労働市場には
依然として「著しい」緩みが存在しているとし、これは
一段の金融刺激が引き続き有効な兆候だと述べた。

「この異例のコミットメントは依然必要であり、
当面必要になるだろう。この見解はFRB内でも
広く共有されていると確信している」とした。

また最大かつ持続可能な雇用、及び安定的な
2%のインフレ率というFRBの目標から米経済は
依然として「大きくかけ離れている」と指摘。

「リセッション(景気後退)の傷跡が残っており、
目標達成には時間を要する」とし、「多くの米国民は、
景気回復が依然リセッションのように感じられ、
一部の経済指標もそのように見える」と述べた。

さらに議長はシカゴ南西部のデイリー・
カレッジにある生産研究施設を訪問。

雇用とインフレをめぐるFRB
目標達成に向けた努力を際立たせた。

FRBが公共(の利益)に配慮していることを
示す試み」(アトランタ連銀の元調査ディレクター、
ロバート・アイゼンベイス氏)といえる。

特に今年は中間選挙を控え、共和党内にはFRB
独立性を脅かしかねない主張が勢いを増しそうだ。

米失業率は2009年につけた景気後退後の
ピークである10%から前月には6.7%まで低下。

一部のエコノミストタカ派FRB当局者は、
労働市場に緩みはほとんどなく、インフレ率も
間もなく加速すると主張している。

だがイエレン議長はこの日の講演で、
緩みは依然として存在すると反論。

その根拠として賃金上昇の兆候がまだ見られないことや、
パートタイム、及び長期失業者の割合が予想外に
大きいことなどを挙げた。

議長はリセッション後に失業や大幅な給与削減を
余儀なくされた労働者の実例に触れ「これはただの
学術的論争ではない」と指摘。

今も苦しんでいる国民にとって「緩慢な
回復の原因は極めて重要」と主張した。