日銀支店長会議で黒田日銀総裁、景気は「緩やかな拡大続く」

日銀は10日、東京日本橋の本店で冬の支店長会議を開きました。
米中貿易摩擦の影響が日本経済にも及ぶとの懸念が強まる中、景気の現状や見通しを点検し、黒田総裁はあいさつで景気の先行きについて、「緩やかな拡大を続ける」との見方を示しました。
また黒田総裁は、現在1%程度にとどまっている物価上昇率を目標の2%にするため、現行の超低金利政策を当分の間、維持する方針を改めて表明しました。
その上で、今後も重要なリスクを点検しながら「必要な政策調整を行う」と強調しています。

パウエル米FRB議長、「米追加利上げ『急がない』」

米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は10日、世界経済や金融市場の動向を睨み、追加利上げは「忍耐強く柔軟に」判断すると明言、引き上げを急がない考えを改めて強調しました。
ワシントンでの討論会で発言したものです。
パウエル議長は、海外経済の減速が先行きのリスク要因だと説明し、米景気に影響するか、金融政策は「立ち止まって様子を見る状況にある」と語りました。
また、「あらかじめ決まった政策の道筋はない」とも述べ、あくまでも経済指標や市場動向を見極めて対応すると話しました。 

10日の経済指標

【日本】
昨年11月の景気動向一致指数は103.0に低下
内閣府が10日発表した2018年11月の景気動向指数速報値は、景気の現状を示す一致指数が前月比1.9ポイント低下の103.0となり、2カ月ぶりに悪化しました。
相次ぐ自然災害により夏場に流通網が乱れた反動で前月に膨らんでいた鋼材や電子部品の出荷が、11月は減少しました。
この影響などにより、前月と比較可能な七つの経済指標がすべて悪化しました。

【英国】
昨年12月の英小売売上高は前年比横ばい
小売協会(BRC)が10日発表した2018年12月の小売売上高は前年同月比横ばいとなりました。
クリスマス商戦期に当たる12月の売上高が前年比で伸びなかったのは世界的な金融危機に見舞われた2008年以来のことになります。

11日の経済指標

【日本】
昨年11月の経常黒字は7572億円
財務省が11日発表した2018年11月の国際収支速報によると、海外とのモノやサービスの取引、投資収益の状況を示す経常収支の黒字額は前年比43.5%減の7572億円となりました。
黒字は53カ月連続でしたが、原油高の影響で貿易収支が前年同月の黒字(1991億円)から赤字に転落したため、経常収支のプラス幅が縮小しました。
また、貿易赤字(5591億円)は2カ月連続でした。
輸出額は1.9%増の6兆9180億円で、輸入額は13.5%増の7兆4772億円でした。
輸出入ともに増えましたが、原油価格の上昇で原粗油や石油製品などの輸入額が大幅な伸びをみせ、貿易収支を悪化させました。 

昨年11月の家計支出は前年比0.6%減
総務省が11日発表した2018年11月の家計調査によると、1世帯(2人以上)当たりの消費支出は28万1041円となり、物価変動の影響を除いた実質で前年比0.6%減少しました。
全国的に気温が高く、暖房利用が抑えられて電気代への支出などが減り、3カ月連続のマイナスでした。
総務省は消費動向の基調判断を「持ち直しの動きに足踏みがみられる」に据え置きました。

昨年12月の街角景気は48.0に低下
内閣府が11日発表した2018年12月の景気ウオッチャー調査によると、3カ月前と比べた街角の景況感を示す現状判断指数は前月比3.0ポイント低下の48.0で、3カ月ぶりに悪化しました。
暖冬で冬物衣料の販売が不振だったほか、株価の急落も影響しました。
また、基調判断は7カ月ぶりに下方修正し、「緩やかな回復基調が続いているものの、一服感がみられる」としました。
前月は「緩やかに回復している」でした。 

【英国】
11月の英鉱工業生産指数は前年比1.5%低下
英国立統計局(ONS)が11日発表した11月の鉱工業生産指数は、前月比0.4%低下、前年比では1.5%低下しました。
前年比では2013年8月以来の大幅低下となりました。

【米国】
12月の米消費者物価指数は前月比0.1%低下
労働省が11日発表した2018年12月の消費者物価指数(CPI)は前月比0.1%低下しました。
エネルギー価格や航空運賃の低下が響き、9カ月ぶりのマイナスとなりました。
変動の大きいエネルギーと食料品を除いたコア指数は0.2%の上昇でした。