米FOMC議事要旨、利上げ急がず、「忍耐強く」判断
米連邦準備制度理事会(FRB)は9日、追加利上げを決めた昨年12月18、19両日の連邦公開市場委員会(FOMC))の議事要旨を公表しました。
それによると、金融市場の動揺や世界経済の減速懸念が強まる中、複数の参加者は「将来の利上げの適切な幅とタイミングは従来に比べ不透明になった」との見解を表明しました。
また、多くの参加者は「インフレ圧力が強くない環境下では、さらなる利上げを『忍耐強く』判断する余裕があるかもしれない」とし、金利引き上げを急がない姿勢を示しました。
参加者17人の金利見通しでは、今年想定する利上げ回数(中央値)が2回となり、従来の3回から減少しました。
議事要旨によれば、政策金利が「(景気を過熱させたり冷やしたりしない)中立の水準かその下限に接近している」との見解でも概ね一致し、複数の参加者からは、「緩やかな利上げが適切」という先行きの政策運営を示唆する表現を削除し、経済・金融情勢を踏まえて政策を決める姿勢を強く打ち出すよう訴える意見が出ました。
9日の経済指標
【日本】
11月の実質賃金は前年比1.1%増
厚生労働省が9日発表した毎月勤労統計調査によると、現金給与総額の伸びから物価変動の影響を差し引いた昨年11月の実質賃金は、前年比1.1%増となりました。
毎月勤労統計は、東京都分で抽出調査を行うなど不適切な手法に基づいており、国内総生産(GDO)算出をはじめ幅広く使われる重要統計の信頼性を揺るがす事態となっています。
同統計は従業員500人以上は全て調査対象ですが、給与水準の高い東京都分は3分の1程度の抽出にとどまっています。
この結果、データにゆがみが出ている恐れがあり、正確さや信頼性に疑念が残っています。
個人の景況感、6年ぶり低水準に=日銀調査
日銀は9日、2018年12月の「生活意識に関するアンケート調査」を発表しました。
それによると、1年後の景況感が「良くなる」から「悪くなる」を引いた景況感DI(指数)はマイナス32.0と、2012年12月調査(マイナス33.1)以来6年ぶりの低水準でした。
前回9月調査と比べ14.9ポイント悪化し、2013年9月(17.1ポイント悪化)以来の大きさとなりました。
日銀は「収入の見通しや日本経済の成長力への見方が悪化したことに加え、昨年10月の株価下落も影響したのではないか」(情報サービス局)と指摘しています。
1年前と比べた現在の景況感DIについても、マイナス14.3と前回調査(マイナス13.3)から小幅に悪化しました。
ドル、対円で107円台後半に下落
10日の外国為替市場では、ドル円相場は177円台後半にドルが下落しました。
朝方は108円台前半で推移していましたが、米中通商協議に対する楽観的な見方が広がり、FOMC議事要旨がハト派的な内容となったことからドル売りが進みました。
NY市場では、108円台前半にドルが下落し、その流れを受けてドル円は108円台前半で推移していましたが、その後は対円で107円台後半に下落する動きを見せました。
市場では、今年の米利上げ回数が減少するのではないかとの見方が広がる中で、ドルの下値を意識する動きが続くのではないかとの声が出始めています。
ドル円は107.90円前後で、ユーロ円は124.60円前後で、英ポンド円は137.90円前後で、豪ドル円は77.20円前後で推移しています。