米FRB議長は追加緩和の具体策示さず、9月FOMC延長し選択肢検討へ

バーナンキ米連邦準備理事会(FRB)議長は26日、
ワイオミング州ジャクソンホールのシンポジウムで講演した。

米景気回復を促す追加策の詳細には言及しなかったが、
失業率の改善に向けた一段の措置を検討する方針を示した。

議長はFRBが米経済成長ペースの見通しを下方修正したことを
明らかにし、様々な選択肢について検討するため、9月の
連邦公開市場委員会FOMC)の日程を当初の1日から
2日間に延長する方針を明らかにした。

ただ、長期的な成長見通しを改善する責任は
米政府と議会が担っていることも強調した。

議長は講演で「危機からの回復がこれまで、われわれが
期待するよりもかなり力強さに欠けていることは明白だ」と述べた。

一方で、過去4年間の衝撃によって米経済成長のファンダメンタルズ
(基礎的条件)が恒久的に変化したようには見受けられないとし、
「景気回復は時間を要し、その過程では後退もあるかもしれないが、
回復のプロセスは米経済に大きな傷跡は残さないだろう」と述べた。

こうした楽観的な見方を示す一方で、「異例の」高水準にある
米長期失業率を低下させることができなければ、
労働者の技能が退化し、経済の長期的な潜在力が
損なわれる恐れがあると警告した。

一部では講演を前に、議長が追加緩和の新たな詳細を示すとの
期待が浮上していたが、講演を受けた市場の反応はまちまちとなった。

米株価は直後にいったん下落し、ダウ工業株30種は
一時220ドル下げる場面もあったが、その後、
新たな取り組みへの道が閉ざされたわけではない
との見方から上昇に転じた。
ドルと米債券価格は上昇後、上げ幅を縮小した。

バーナンキ議長はFRBが最近の動向について懸念していることを
明らかにし、追加の金融刺激策に関する選択肢などについて検討するため、
9月のFOMCを2日間に延長すると表明した。

その一方で、長期的な成長の基礎を固める政策の多くが
FRBの領域外にあることも強調した。

欧州債務問題や、米債務上限引き上げ問題での対立、
スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)による
米国債格下げが過去数週間、市場でボラティリティーを高め、
成長見通しの悪化につながったと指摘。

「金融ストレスは国内外で回復に対する大きな足かせとなってきたが、
今もそれが続いている」との認識を示した。

また、米国の財政を持続可能な軌道に乗せれば、長期的に
経済にプラスになる可能性があるとする一方で、財政引き締めを
あまりに急速に行えば、現在のぜい弱な回復が損なわれる
恐れがあるとの認識を改めて示した。

FRBの政策をめぐっては、保有証券の残存期間長期化など
比較的控えめな措置を予想する向きが多いが、一部では
新たな国債買い入れを望む声もある。

バーナンキ議長は講演で、FRBは選択肢を検討しており、
必要があれば行動するという先のFOMC声明の文言を
繰り返すにとどまった。

また、商品(コモディティー)価格の上昇鈍化により、
インフレはFRBが目指す2%またはそれを若干下回る水準に
落ち着くとの見通しを改めて示した。