ドルオペ拡充、国内外貨資金繰りで複数委員が注意指摘=日銀議事要旨

日銀が27日に発表した11月30日開催の臨時金融政策決定会合
議事要旨では、複数の委員が、ドルオペ拡充策により
国内金融機関の外貨資金繰りについての不要な疑念を
生むことのないよう、市場とのコミュニケーションに
あたっては十分な注意が必要であると述べたことが明らかになった。

議事要旨によると、委員らは「欧州ソブリン問題の解決の難しさを
考慮すると、市場の緊張状態は長期化する可能性が高い」とし、
国際金融市場一段と不安定化すれば国内金融システムに影響及び
可能性排除できないとの認識を共有した。

複数の委員は、ドル供給オペ金利の引き下げにより
「信用力に問題のない利用先でも利用を
ためらわなくなる」とのメリットを指摘した。

一方、1人の委員は「金利引き下げが金融機関の
安易なオペ依存をもたさないかどうかについて、
注意して見ていく必要がある」と述べていたことも分かった。

なお、同時に決定された各国中央銀行による
米ドル以外の資金供給を可能とする
多角的スワップ取り決めの締結について、
委員らは、現状市場からこれらを求める声はないが、
不測の事態への対応措置として、
市場の安定確保にするとの見解を共有した。

日銀は同会合で、欧米主要中央銀行と協調する形で
米ドル資金供給の貸付金利を0.5%引き下げ、
日米欧の6中銀とドル以外の資金供給に備えた
多角的スワップの取り決めで合意した。

米連邦準備理事会(FRB)との間で、ドルスワップの期限を
2013年2月1日まで6カ月延長した。

白川方明総裁は同日午後11時から会見を行った。

この日米欧中銀の協調によるドル資金供給拡充策を受け
ロンドン銀行間取引金利LIBOR)ドル3カ月物は、
一時4カ月ぶりに低下した。

また、複数の委員が、10月末の前回会合以降、
下振れリスクが幾分高まっている可能性を
指摘したことが明らかになった。

日銀は同定例会合で、政策の現状維持を全員一致で決めたが、
景気の現状認識については「持ち直しの動きが続いているものの、
海外経済の減速の影響などから、そのペースは緩やかになっている」
として、判断を事実上下方修正した。

白川方明総裁は会合後の会見で「最大のリスク要因は
欧州債務問題の今後の展開」と指摘。

「(前回会合からの)3週間の動きについて、
よりリスクが高まったと認識する人がいた」と
政策委員の議論の一部について異例の発言を行った。