イラン、一部の国向けの原油輸出を近く停止へ

イランは、核開発問題と制裁をめぐって西側諸国との緊張が高まる中、
近く「一部」の国向けの原油輸出を禁止すると表明した。

一方で同国議会は、欧州連合EU)向けの原油輸出を
今後5〜15年間、全面的に禁止する法案の審議を延期。

国際原子力機関IAEA)の代表団が29日からイランを訪れる中、
同国は国際社会に対し矛盾したメッセージを送っている。

国営イラン通信(IRNA)によると、カセミ石油相は、
同国が近く「一部の」国向けの原油輸出を停止すると述べ、
制裁には制裁で対抗するとの姿勢を打ち出した。
ただし、具体的な国名には言及しなかった。

また、同国議会はEUがイラン産原油輸入禁止
完全実施する7月以前にEUへの原油輸出を禁止する法案を
29日に審議する予定だったが、同審議を延期した。

準国営通信社Mehrによると、エネルギー委員会の
報道担当者、エマド・ホセイニ委員は「そうした法案は
まだまとまっても、議会に提出されてもいない」と説明している。

イランはIAEA調査団の訪問については楽観しているとした上で、
調査団がもしも「プロフェッショナル」でない場合には政府の協力を
得られなくなる可能性があると警告した。

イランの核開発をめぐる西側諸国との緊張の高まりを
背景に北海ブレント原油先物は昨年12月中旬以降、約8%上昇している。

北海ブレント先物は27日の取引では、イラン議会が
EUへの原油輸出を次の週にも停止する法案を審議するとの見方から、
1バレル=111.50ドル程度まで上昇した。

IRNAによると、石油省のカレバニ次官は29日、
EUによるイラン産原油輸入禁止により、
原油価格は1バレル=120〜150ドルに
上昇する可能性があるとの見方を示した。