ポルトガルがEU・IMFの審査に合格、財務相「追加支援不要」

ポルトガルガスパル財務相は28日、欧州連合EU)と
国際通貨基金IMF)から受けている780億ユーロの
支援策の条件に関する審査に合格したことを明らかにし、
第2次支援は必要にならないとの見解を示した。

ただ、EUIMF欧州中央銀行(ECB)の3機関
トロイカ)はポルトガル経済が今年、一段と
低迷するとの見方を示し、さらなる改革の努力を求めた。

ポルトガルが支援策の条件を満たしているとの結論に
達したことを受け、トロイカ調査団は同国に対する
149億ユーロの次回融資実施を勧告するとした。

調査団は声明で「プログラムは軌道に
乗っているが、課題は残っている」と指摘。

「政策は概ね予定通り実施され、経済の調整も進行している」
とした一方、保護されたサービス部門などで構造改革の遅れを
取り戻すためには一段の努力が必要との見方を示した。

ポルトガルガスパル財務相は同国として追加支援を
要請しない考えを示し、「ポルトガルは追加支援も、
さらなる時間的猶予も要請しない」と述べた。

EUIMFによる審査の間に追加支援に
関する議論が出なかったことも明らかにした。

ただ、今年の政府の経済成長率見通しについては、
欧州の景気減速を受けて従来のマイナス3%から
マイナス3.3%に引き下げたとし、すでに過去最悪の
水準にある失業率が今年、従来見通しの13.7%から
14.5%に悪化する可能性があると述べた。

欧州委員会のレーン委員(経済・通貨問題担当)は
28日に発表した声明で、ポルトガルの経済改革への
取り組みに言及し「改革措置の大半は、2011年と
2012年に予定されている。経済は来年から
再び拡大し始める」との見方を示した。

ただ、ポルトガルギリシャと同様に追加支援要請
もしくは債務再編に追い込まれる可能性があるとみる向きは少なくない。

IHSグローバル・インサイトエコノミスト
ディエゴ・イスカロ氏は、ポルトガルにとって
景気見通しが引き続き主要なリスクになるとし、
同国の今年の成長率はマイナス3.7%になると予想。

「景気後退に加え、国債利回りが高止まりしていることから、
ポルトガルが年内に追加支援の要請に踏み切らざるを
得なくなる状況を想定している」と述べた。

トロイカ調査団も「ポルトガル経済は今後も向かい風に
さらされ続ける」と指摘したが、2013年には輸出と
民間投資に支えられ、経済が徐々に回復するとの見通しを示した。

格付け会社S&Pのアナリスト、モーリッツ・クレーマー氏は
ロイターに対し、「ギリシャの格付けが選択的デフォルト(SD)に
引き下げられたことを受け、ポルトガルの格付けは
ユーロ加盟国のなかで最も低くなった」と述べ、
このため「デフォルトが発生する可能性がある場合、
ポルトガルがデフォルトに陥る確率は他の
どのユーロ加盟国よりも高くなっている」との見方を示した。

ポルトガルギリシャよりも改革を実行する能力がある
という点などでギリシャとは状況が異なるとも述べたが、
「一方で、公的部門と民間の双方でデレバレッジが進む間、
成長見通しの弱い状況が当分続くことが予想される」と指摘した。

こうした懸念を背景に、ユーロ圏周辺国債の最近の改善に比べ、
ポルトガル国債のパフォーマンスは見劣りしている。

トロイカ調査団は声明で、ポルトガルが「プログラムの
厳格な実行を続ける限り、ユーロ加盟国は同国が
市場に復帰するまで支援を続ける用意がある
との立場を表明している」とした。

EUIMF支援の下で、ポルトガル
2013年後半の市場復帰を目指している。

財政赤字は2012年に対国内総生産GDP)比で
4.5%に削減する必要がある。

調査団は今年の赤字削減目標について「経済見通しに
対する下振れリスクが具現化しない限り、
現在の政策の下で達成可能」との見方を示した。