スペイン、銀行不動産資産を特別持ち株会社に強制移管へ

スペイン政府は、銀行が保有するすべての不動産資産を
数週間以内に特別持ち株会社に強制的に移管させる。

銀行の問題債権解消に向けた措置の一環として行うもので、
スペインの銀行が支援を必要としていないことを市場に示すことが狙い。

政府筋、及び金融筋が23日、ロイターに対し明らかにした。

政府関係筋によると、不動産資産の移管先となる
持ち株会社については、現在、政府と銀行の間で
形態などの詳細について協議が続いており、
今夏までには運営が開始される予定。
設立後10年で解体される。

同筋は「持ち株会社に不動産資産を移管することで、
銀行業務と不動産業務の明確な分離が可能になる。
不動産資産による損失に対する引き当てはほぼ
完了していることから、移管により、銀行は
(バランスシートの)整理を円滑に行うことが
できるようになるとみている」と述べた。

関係者らによると、新たに設立される持ち株会社には
公的資金は投入されず、銀行免許も付与されない。

また、運営は不動産業務の専門家が行う。このため、
持ち株会社を不良資産の受け皿となる「バッドバンク」
とみなすべきではないとしている。

スペイン中銀筋も、「この措置で、現在進行中の銀行改革が
完成する。ただ、公的資金が必要となる『バッドバンク』の
創設にはつながらない」と述べた。

中銀の統計によると、スペインの銀行バランスシートに
掲載されている建設部門に対する融資を含む不動産関連資産の
総額は、2011年末時点で約4000億ユーロ。

設立される持ち株会社に移管される問題のある
不動産資産の総額は、約1760億ユーロとなる見通し。