次回会合で物価見通し踏まえた政策説明必要=4月日銀会合議事要旨

日銀が7日に発表した4月9〜10日開催の
金融政策決定会合の議事要旨によると、何人かの委員が、
「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」をまとめる次回会合で、
日銀が目指す物価上昇率1%と、物価見通しの関係を踏まえ、
「政策をめぐってどのような説明を行っていくか、
しっかり検討する必要がある」と述べていたことがわかった。

日銀が同月27日に決めた追加緩和について委員らが
10日時点で意識していた可能性がありそうだ。

一方、議事要旨によると、委員らは「現時点では
2月に増額した基金の効果を確認していくことが適当」
との見解で一致しており、3月会合で追加緩和提案を行った
宮尾龍蔵委員による緩和提言はみられなかった。

財務省出席者からは「いまだデフレ脱却が
見通せる状況となっていない」、「引き続き積極的
かつ果断な金融政策運営に取り組んでいただきたい」
との発言がみられた。

委員らは、ギリシャ問題が世界的な金融危機を引き起こす
テール・リスクは低下しているとの認識で一致。

ただ多くの委員はイタリアやスペインの財政悪化が意識される中、
投資家のリスク回避姿勢が幾分強まっていると指摘した。

その上で委員らは「世界経済をめぐる不確実性が引き続き大きい」
との見解で一致しており、複数の委員は「仮に中国経済
成長ペースがはっきり下振れる場合には、海外経済の
成長率上昇を前提とした日銀の経済見通しに影響する」と指摘した。

委員らは、長い目で見て「消費者物価の前年比プラス基調が
徐々に定着していく」との見方を共有した。

複数の委員は、国民の間に物価が上がらないとの意識が
根付いた影響で物価上昇率が高まりにくいとの見解を示した。

一方、1人の委員は物価観は「不変でなく何らかの
社会経済環境の変化をきっかけに、比較的大きく
変化することもあり得る」との見解を示した。

3月のマネタリーベースが、前年震災直後に
大規模な資金供給を行った反動で前年割れとなった点について、
複数の委員は水準自体は引き続き高水準と指摘した。

1人の委員は「日銀の緩和スタンスが後退したとの見方があるが、
これは全くの誤解」と強調している。

累次にわたる基金増額で日銀による国債買入規模が
拡大しているため、複数の委員は「日銀が財政ファイナンス
行っているとの疑念で市場の不安定化につながることのないよう、
国債買い入れの目的を引き続きしっかりと説明し続けていくことが
重要」と述べた。

日銀は同日の会合で金融政策については
現状維持とし、追加緩和を見送った。

市場では円高修正が足踏みし、日経平均株価
1万円を割り込んだことから追加緩和期待もあったが、
白川方明総裁が会合後の記者会見で27日の次回会合で
景気や物価見通しを「特に念入りに点検し適切に
政策運営をしたい」と強調し、市場では追加緩和期待が高まった。