スペイン、国内銀・地方政府支援で新発債発行へ

スペインは、国債利回りが危険水準とされる7%に
近づいているにもかかわらず、問題を抱える銀行と
地方政府を支援するため、近く新発債を発行する見通し。

これにより、同国の流動性が圧迫され、
財政が一段と悪化するとみられる。

国内経済と銀行をめぐる緊張が高まるなか、
スペイン中央銀行のオルドネス総裁は29日、
6月10日に退任することを明らかにした。
任期終了1カ月前の退任となる。

スペインの経済問題の中核にあるのは、
不動産バブル崩壊
打撃を受けた国内銀行と自治州。

エコノミストは、これらの銀行や
自治州が立ち直るまで
リセッション(景気後退)からの
脱却は見込めないと指摘している。

スペイン政府筋は29日、ロイターに対し、経営難に陥った
大手銀行バンキアの資本再編に向け、政府が新発債を
発行する見通しだと語った。

同筋は「市場からの資金調達が明らかに支持されている。
国債を直接バンキアに注入するという)もうひとつの
選択肢が実現する可能性は低い」と指摘。

「FROB(銀行再編基金)には流動性があり、市場からの
資金調達が可能だ。財務省も潤沢な流動性がある。
どちらかのメカニズムを選択する」と述べた。

同筋によると、政府は、地方政府の債務処理を支援するため、
来月1日に新たなメカニズムを採用する公算も大きい。

地方政府のための債券発行・販売を
財務省に指示するという。

こうしたなか、欧州委員会バローゾ委員長は29日、
ユーロ圏諸国は、ユーロ圏の将来を投資家に保証するため、
経済の完全統合に向けた行程表を策定するべきだとの見解を示した。

委員長は講演で、経済統合が実現するのは
まだかなり先であっても、ロードマップを
示すことは重要と指摘。

「流れと目標を定めることは非常に大切だ。
ユーロ圏への投資に対する信頼という意味でも
非常に重要だ。完全な経済・通貨統合に向けた
行程表を含む、野心的かつ構造的な手法を、
われわれは支持していく」と明言した。

スペインは、欧州中央銀行(ECB)が債券買い入れ
プログラムを再開し、支援に乗り出すことを期待してきたが、
ECB理事会メンバーのノボトニー・オーストリア中銀総裁は29日、
債券買い入れの再開や長期の流動性供給に関する議論は
していないと述べ、経営難に陥った銀行の救済は
ECBの仕事ではなく、各国政府の責任で
行うべきだとの認識を示した。

スペインはすでに今年の債券発行計画の
55%以上を完了しており、
FROBで利用可能な40億ユーロ超に加えて、
少なくとも200億ユーロの資金があるため、
銀行の資本再編と債務返済は可能だ。

しかし、2012年に期限を迎える1175億ユーロの債務のうち
980億ユーロの借り換えと520億ユーロの赤字補てんが
なお必要となっている。