中国の大企業、資金調達手段を融資から債券発行に切り替え

中国では金利低下を背景に、大企業の間で資金調達手段を
銀行借り入れから債券発行に切り替える動きが広がっている。

その結果、銀行は、信用力が低く高リスクの
小規模企業への融資を重視せざるを得なくなっている。

石油精製大手の中国石油化工(シノペック)は6月初めに
200億元(32億5000万ドル)の社債を発行。

利回りは4.3%以下で、5年以上の融資の基準金利である
6.80%を大幅に下回る水準での資金調達に成功した。

こうした動きは大規模な国有企業を主な顧客とする
「4大銀行」にとって、強い逆風となっている。

ある銀行関係者は「数兆元規模の融資先を失う見通しだ。
それはいずれも信用力が最も高く、中核的な顧客だ。
われわれは他のビジネス機会を探し出し、小規模企業向け
融資市場に参入しなくてはならない」と語っている。

社債や融資に関するデータにも、
そうした傾向が明確に現れている。

今年1〜5月の社債発行残高は前年比14.6%増加し、
融資残高の8.7%増を大幅に上回る伸びを示した。

融資先の内訳をみても、今年第1・四半期は全体の融資が
前年比15.2%増加したのに対し、小規模企業向け融資は
20.5%増加した。

コンサルティング会社GKドラゴノミクスのJanet Zhang氏は、
2011年には全体の融資に占める民間企業向け融資の比率が
前年の27%から28%に上昇した一方、大規模国有企業向け
融資の比率は33%から32%に低下したと推測している。

製造業を対象とする調査によると、中国の民間企業は
国有企業に比べ大幅な受注の落ち込みに見舞われ、
信用へのアクセスが困難になっている。

一部の小規模企業は、規制のない地下銀行などに
依存せざるを得なくなっている。

それでも、銀行は政策変更の影響で、小規模企業への
貸し出しを強化する必要に迫られている。

国務院は今月、銀行の自己資本比率を算出する上で用いる
リスクウエートについて、小規模企業向け融資の
ウエートを引き下げると発表。

また、世界的な金融危機以降の企業破綻急増を受け、
銀行監督当局は、小規模企業向け融資の伸びが
全体の融資を上回る必要があるとする新ルールを制定した。

さらに、中国人民銀行中央銀行)は今月、銀行に対して
ローンの金利を基準金利と比べ最大で20%下回る水準に
設定することなどを認めた。

Zhang氏は「銀行は利益率を維持するため、高い金利
受け入れる借り手を探さなくてはならない。そうした企業は
国有企業ではなく、民間企業になりがちだ」と述べている。