武力行使で円は急落するか

今週の為替市場は、欧米動向が
大きな材料になると見ています。

欧州では、財政問題が引き続き
大きな問題として意識されるものと思います。

ギリシャ、スペイン、ポルトガル
さらにはイタリアの動きが気掛かりです。

これらの国に対する支援の動きや緊縮策が
国際機関の納得を得られるのかが
関心を集めるものと思います。

一方、米国では追加緩和を行いましたが、
その効果は直ぐには出ず、早くても
半年後ということになりそうです。

その間、FRBは様々な策を打ち出して、
景気後退を食い止める努力が必要でしょう。

大統領選を控えて厳しい状況が続くと思います。

基本的には、ドルは積極的には買えない通貨ということです。

問題は円です。

尖閣諸島の国有化を巡り、
中国の反発は想定以上のものとなりました。

デモはもちろん、日本大使館への攻撃や
日本企業に対する焼き討ち、日本人への暴行事件など、
信じられない出来事が起きています。

これらの出来事も政府がデモを止めるように
指示を出すと、ビタッと収まった訳ですから、
大使館への襲撃、日本企業に対する襲撃、
日本人に対する暴行は、政府の指示があって
行われたと考えた方が理解できます。

さらに少し前の丹羽前大使車に対する襲撃、
日の丸強奪事件も政府の意向を受けたものと
理解する必要があると思います。

さらに、米国に対して、日中問題
介入しないように求めています。

米国は尖閣諸島問題については、日中間で
決めることと応じており、中国としては、
フリーハンドを得たと考えているものと思います。

そう、イラククウェートに進攻した時のような
メッセージを米国は中国に与えたようです。

中国軍は、尖閣諸島に対して、強い措置を取ることを
明言しているし、中国政府も尖閣諸島の領有権を
強く主張しています。

日本がさらに尖閣諸島で何らかの行動を起こした時には、
何らかの手段を取ることを明らかにしています。

尖閣諸島問題は、偶発的な軍事衝突、小競り合いが
起きる可能性が強まっているわけです。

戦後初めて、日本が戦闘に巻き込まれる
可能性が高まっているのです。

ただ、今は日中間でそこまでの事態は起きないという、
妙な安心感があり、為替相場は落ち着いた動きを示しています。

万一、中国が尖閣諸島を占拠するような
事態になったら、円は暴落すると見ています。

以前、韓国のソウル上空に北朝鮮の軍用機が
飛来した時には、円は対ドルで一気に
10円近く円安が進んだことがありました。

その後、その軍用機が亡命を求めたものとの
報道が流れると、元の水準に戻りました。

しかし、日本が紛争の当事国となった場合には、
円の下げ幅は10円ではとどまらないと思います。

一気に100円を超える動きになると思います。

尖閣諸島を占拠されれば、
さらに円安が進むものと思います。

日中が武力衝突すれば、中国に進出した企業は
全てを失う訳で、そうした経済面の損失も
円売り材料に繋がるものと思います。

これは絵空事ではなく、ここまで日中が
対立したことがなかったことや、尖閣諸島問題については
米国が中国の言い分を鵜呑みにしている現状を考えると、
これは想定できるリスクと考えるべきだと思います。

その上で、政府には外交交渉で
問題解決を図って欲しいと思います。

しっかりリスクを意識して、
日中情勢を見極めたいと考えています。

予想レンジは、
ドル円が75.20〜81.20円、
ユーロ円が96.20〜103.20円、
英ポンド円が122.20〜129.20円、
ドル円が76.20〜83.20円。