9月の景気動向指数は「景気後退入り」示唆、今後は在庫調整の強まりも

内閣府が6日に発表した9月の景気動向指数速報によると、
景気の現状を示すCI(コンポジット・インデックス)
一致指数は前月比2.3ポイント低下し、91.2となった。

低下は6カ月連続。一致指数を踏まえた基調判断を
「下方への局面変化を示している」に下方修正した。

生産統計など様々な経済指標を総合して作成された
CIの変化から判断して、事実上、日本経済は
景気後退に入ったことを示している。

当面、景気は一段と下ブレするリスクが
高いとみられており、先行指数から判断して
この先在庫調整局面を迎える可能性も指摘されている。

政府は、先月すでに経済対策の
とりまとめを決定している。

「景気後退」に入ったかどうかの判断は、
このCI一致指数の動きから機械的
判断される仕組みになっている。

内閣府の定義では、「CIの7カ月後方移動平均
符号が変化し、1カ月、2カ月、または3カ月の累積で
1標準偏差分以上、逆方向に振れた場合」に
「局面変化」と判断される。

下方への「局面変化」は、その時点で「既に景気後退局面に
入った可能性が高いことを暫定的に示す」としており、
景気動向指数の統計上は景気後退局面入りを示唆している。

「下方への局面変化」は、東日本大震災発生後に
景気が低迷した2011年5月以来、16カ月ぶり。

その後、景気は持ち直してきたが、今年夏以降、
再び世界経済減速や日中関係の悪化などから、
急激に冷え込んできた。

年末にかけてエコカー補助金終了や全般的な
消費の減速、輸出の停滞感などから生産の
落ち込みが予想されている。

内閣府幹部は、10月一致指数が前月比マイナスになれば、
基調判断はさらに下方修正され「悪化」となる
可能性があるとしている。

一致指数は、判明した10系列のうちプラスは
大口電力使用量の1系列で、9系列がマイナスとなった。

海外経済減速やエコカー補助金の終了などの影響で、
自動車を中心に生産や輸出の低迷が響き、
耐久消費財出荷指数、生産指数(鉱工業)、
鉱工業生産財出荷指数、中小企業出荷指数
(製造業)がマイナスに寄与した。

また生産の低迷が雇用にも波及、所定外労働時間指数が
4カ月連続でマイナスとなったほか、有効求人倍率
3年2カ月ぶりにマイナスに転じた。

先行きについて内閣府では「世界経済のさらなる下振れや、
輸出の減少に注視していく必要がある」(内閣府幹部)としている。

景気の先行きを示す先行指数も前月比1.5ポイント低下の
91.7と、2カ月ぶりに低下した。

生産の弱さを反映して在庫率が上昇、
鉱工業生産財在庫率指数や
最終需要財在庫率指数がマイナスに寄与した。

他方、日経商品指数や
東証株価指数がプラスに寄与した。

景気後退に陥った時期に関しては、「局面変化」が
事後的に判定される景気の山・谷が、
それ以前の数カ月にあった可能性が
高いことを示すものであることから、
BNPパリバ証券では「年半ばから、
内需、外需ともに減速傾向にあることは
確かであり、事後的に見れば遅くとも
今年半ばから後退局面入りしていたと
判断される可能性が高い」とみている。

景気への懸念が強強まっていたこともあり、
政府は先月17日、月例経済報告の景気判断が
3カ月連続下方修正となったことを受け、
11月中に経済対策をまとめることを決定。

うち緊急性の高いものについては、予備費
使用することとし、総額4226億円の対策を
閣議決定している。

前原誠司経済財政相は6日の閣議後会見で、
景気後退入りの可能性について、様々な経済指標の
総合判断になるとし、「ひとつの指標で景気後退入りと
判断することは現段階で控える」と指摘。

正式な認定には「タイムラグをもって後に、
そうだったかそうでなかったかの判断が下される」
仕組みになっていると説明している。

政府の景気認識は「景気動向指数のほか多くの経済指標を
総合的に、月例経済報告で判断する」(内閣府幹部)としており、
少なくとも中旬の月例経済報告を待つ必要がある。

また正式には事後的に景気動向指数研究会で
議論した上で、景気基準日付の設定が行われる。