EU財務相理事会、銀行同盟で合意できず

欧州連合EU)は4日開いた財務相理事会で、
欧州中央銀行(ECB)による銀行監督一元化を
柱とする銀行同盟構想について協議したが、
合意は得られなかった。

来週12日に再度会合を開き、
協議を継続する。

理事会では、ECBの権限をめぐり
ユーロ圏中核国の仏独が激しく対立。

EU諸国は銀行同盟の法的な枠組みを年内に
整備することを目指しているが、実現には
なお多くのハードルが残されていることが
浮き彫りとなった。

ショイブレ独財務相は、銀行監督について
「最終権限をECB理事会に委ねるべきではない」とし、
大半の銀行を各国当局の監督下に置かなければ、
合意は得られないと主張した。

「銀行監督と金融政策との間にチャイニーズウォール
(情報の壁)が絶対的に必要」と述べ、ECBのような
独立機関が銀行監督を兼務することに懐疑的な見方を示した。

これに対し、モスコビシ仏経済・財務相は、
抜本的な債務危機対策の要である銀行同盟構想を
後退させることに強い反対を表明。

「われわれには、二重の監督体制を導入する
権限はない」とし、ECBを銀行監督の中心に
据えるべきと反論した。

銀行同盟をめぐる合意が得られなかったことを受けて、
ユーロは対ドルで一時小幅下落した。

銀行同盟構想では、銀行救済が国家財政の悪化を招く
負の連鎖を断ち切るため、ECBに銀行監督を一元化し、
破たん銀行の清算基金を整備する青写真を描く。

大半の国は銀行監督案を支持しているが、
どの程度までリスクを共有するのかやユーロ圏と
非ユーロ加盟国間の公平さをいかに確保するかなど、
詳細では意見の一致が見られていない。

ドイツは他国の破たん銀のコスト負担を
余儀なくされることへの懸念が強く、
また銀行同盟が欧州安定メカニズム
(ESM)からの直接的な銀行資本注入へと
道を開くことにも抵抗がある。

ドイツのほか、オーストリア
ECBに銀行監督を集約することに反対。

ユーロ非加盟のスウェーデンも、国内銀行の
取り扱いの公正さや国家当局の監督権限維持を
求めている。

さらに外交筋によると、ユーロ加盟を目指す
ハンガリーポーランドの懸念にも対応する必要がある。

再協議の場となる12日の会合で合意が得られ、
欧州議会も認めれば、13〜14日に開催される
EU首脳会議で法的枠組みに関する最終的な
とりまとめが実現する可能性も残っている。