自国通貨安、産業界が望む万能薬ではない=クーレECB専務理事

欧州中央銀行(ECB)のクーレ専務理事は18日、
自国通貨安は産業界が抱える諸問題の万能薬で
ないと述べ、通貨戦争への動きに警鐘を鳴らした。

専務理事はBFMビジネスラジオのインタビューで
「通貨安は、産業界が望む万能薬ではない」と述べた。

「企業が輸出時に(自国通貨安を)望むのは普通だが、
輸入製品価格は上昇する」とした。

また、通貨戦争は生じていないものの、経済成長が
弱いときに始めようとする衝動が強くなるとの認識も示した。

同専務理事はまた、ECBが長期資金供給オペ(LTRO)を
通して銀行に供給した資金の返済は、短期金融市場に
大きな影響を及ぼさないとの見通しを示した。

同専務理事はパリで開催された会議で、「ユーロ圏の
金融システム内に過剰流動性が存在していることを
踏まえると、短期金融市場に対し重大な影響は
及ばないとみている」とし、「中央銀行を通した
借り換えは、2013年を通して引き続き重要な
要素であり続ける」との見解を示した。

同専務理事の発言を受け、独2年債利回りが
上げ幅を縮小、独連邦債先物が上昇するなどの動きが見られた。

ロンドンのトレーダーは、「(LTRO資金の返済による)
流動性低下を受け、ユーロ圏無担保翌日物平均金利
(EONIA)が上昇するとの懸念があるため、
短期債が買い戻されていた」としている。

ECBは2011年12月と2012年2月に、
LTROを通して低金利の3年物資金を供給。

ユーロ圏債務危機の緩和に伴い、銀行が
この資金の返済を始めるとの見方も出ている。