米ホワイトハウス、歳出強制削減の深刻な影響を国民に訴え

ホワイトハウスは、歳出の強制削減の回避に向け、
3月1日に削減が発動された場合の深刻な影響を
国民に訴えることに力を入れている。

政府当局者は25日、具体的な影響として、国際貿易や
がん及びアルツハイマー病治療研究の遅れ、
国境地帯の治安悪化などを挙げた。

一方、共和党側は、オバマ大統領が国民を怖がらせるために
850億ドルの歳出削減による影響を誇張していると指摘する。

ルイジアナ州のボビー・ジンダル知事(共和党)は、
大統領との会談後に記者団に対し「連邦予算の3%以下を
削減する責任ある方法はある。大統領はリーダーシップを
示す時だ」と発言。

「大統領はキャンペーンをやめ、米国民を
怖がらせるのをやめる必要がある」と述べた。

大統領はこの日、ホワイトハウスで開いた州知事との
年次会合で、3月1日に期限が迫る歳出の強制削減の
発動回避に向け、議会に圧力をかけるよう要請。

ただ自身が交渉に着手する、もしくは発動された場合の
軽減策を講じる姿勢は見せず、議会の対立的な雰囲気に
不満を漏らした。

ジャネット・ナポリターノ国土安全保障長官は25日、
ホワイトハウスで会見し、歳出削減が発動されれば、
米国向けコンテナ貨物の通関に最大5日の遅れが
生じるとの見通しを示した。

また、旅行者の税関手続きの平均待ち時間は1.5倍に
増えるとし、ニューアークやロサンゼルスなど混雑する
空港では待ち時間は2倍の4時間超に増える可能性が
あると述べた。

「人々を怖がらせるのではなく、情報を伝えるために
話している」としつつも、「今後数週間で行列が
劇的に長くなる場所がある」と述べた。

国立衛生研究所(NIH)のフランシス・コリンズ所長は25日、
記者団に対し、16億ドルの歳出削減により、メリーランド州
ベセスダにあるNIH臨床センター(240床)に影響が出ると表明。

同センターでは医師が希少疾患を研究し、がんやエイズ(AIDS)、
うつ、遺伝病などの新薬の臨床試験を行っている。

NIHはまた、多くの新規助成金のための資金が
得られなければ、全米で2万の研究ポストが
失われる恐れがあり、がん及びアルツハイマー病治療や
インフルエンザ万能ワクチンの開発などの
重要プロジェクトが遅れる可能性があると指摘した。

ホワイトハウスのカーニー報道官は25日、政府は
「歳出削減の影響を強調することで、問題が注目され、
議会が削減回避に向けて責任を持って行動する必要性が
強まることを期待する」と述べた。

オバマ大統領は26日に共和党重鎮のジョン・マケイン上院議員
リンゼー・グラム上院議員と会い、移民制度改革の取り組みに
ついて協議する予定。

マケイン議員の側近はここで歳出削減の回避策まで
話し合われる可能性があると述べた。
グラム議員は上院の歳出及び予算委員会のメンバー。