キプロスがユーロ離脱の危機、支援拒否なら流動性供給ストップも

欧州中央銀行(ECB)はキプロス向け緊急流動性支援
(ELA)の現在の水準を25日まで維持するとの声明を
発表した。

欧州連合EU)などによる金融支援策の
受け入れがなければ、流動性供給を断つ構え。

EUの高官はロイターに対し、ユーロ圏が欧州経済に
影響が波及しないよう、キプロスのユーロ離脱も
視野に準備しているとも明らかにした。

キプロスの銀行は今週は休業だが、その再開前に
合意がなく、莫大な資金が流出するという
最悪の事態に備えるため、政府は銀行の
資本規制を導入する権限を、財務相もしくは
中銀総裁に付与する法案を議会に提出した。

議会は、政府による一連の危機対策措置を
審議するために22日に再開する。

EU国際通貨基金IMF)による100億ユーロの
金融支援と引き換えに要求されている58億ユーロの捻出は、
これらの措置でまかなうことは難しいとみられる。

ユーロ圏財務相会合(ユーログループ)の
ダイセルブルーム議長(オランダ財務相)は21日、
キプロスに対し、同国が支援をめぐり国際機関と
どのような合意ができるかを示すよう
ユーログループとして求める意向を表明した。

キプロス政府は、「団結基金」を
創設する法案を議会に提出。

将来的なガス収入など
国家の資産が財源となる。

ECBは「EUIMFのプログラムが実行され、
問題行の支払い能力が保証される場合にのみ、
ELAを検討することになるだろう」
との立場を示している。

EUの高官はロイターに対し、ECBが手を引けば、
キプロスの大手行は保護しようとしている莫大な額の
預金が流出し、ユーロを離脱せざるを得なくなるかも
しれないとしている。

キプロスの銀行の営業再開は26日以降となる予定。
キプロスのサリス財務相は、銀行預金課税の代替策として
銀行・天然ガス分野への投資についてロシアと
協議していると明らかにした。

同相によると、キプロスはロシアからの既存の
25億ユーロの融資を5年間延長することと、
金利の4.5%から2.5%への引き下げを
ロシアに求めている。

ただしロシアからの新たな借り入れを行い、
債務を膨らませる計画はないとし、
新規融資要請については否定した。

ロシアの財務相は18日、キプロス
50億ユーロの追加融資を求めたと明らかにしていた。