豪金融システムは比較的強固、過度なリスク志向みられず=中銀

豪準備銀行(中央銀行)は27日、オーストラリアの
金融システムは比較的強固で、銀行が利益を押し上げる
狙いで過度なリスクをとっている兆候はほとんどない、
とする報告を発表した。

中銀は、年2回発表する金融システムに関する報告で
「国内の借り入れ需要が今後数年、抑えられる見込みと
なるなか、銀行の間では中期的に利益の伸びを支えるための
他の戦略を実施する動きが高まっている」とした上で
「引き続き注視する必要があるが、銀行が過度な
リスクをとったり、リスク管理能力を弱めている
証拠は現時点でほとんどみられない」と指摘した。

国内銀行は過去数年、資本増強を進めているほか、
変動の激しいホールセールの資金調達市場への
依存を下げるための策を講じており、より厳格な
流動性の新国際基準を満たすことができる状態にある、
とした。

キプロス情勢をめぐる不透明感に言及しつつも、
欧州の域内問題への取り組みや、米国を中心に
主要国で景気回復の兆候がみられることから、
ここ数カ月世界的に金融状況は大幅に改善したと指摘した。

その上で「ユーロ圏は依然安定に向け大きな課題に
直面している」との見方を示した。

国内主要銀行がアジア市場へ積極的に進出していることに
言及し、オーストラリアとアジア諸国との通商や投資の
拡大に伴い、この傾向はしばらく続くとの見通しを示した。

「アジアへの進出が国内銀行の収益の拡大や多様化に
つながるとしたら、銀行にとりプラスで、金融安定にも
つながる」とした。

銀行の資産状況は引き続き改善しており、
収益性は今後も堅調が見込まれる、とした。

家計は依然、新規借り入れよりも既存債務の返済を
優先しており、家計の信用の伸びは緩やかな
ペースにとどまっている、と再度指摘した。

ただ、借り入れに対する慎重姿勢は、銀行セクターの
財務の弾力性強化に必要、との見方を示した。