下方リスクあれば必要な調整、所定内賃金の動向注視=日銀総裁

日銀の黒田東彦総裁は22日、衆院財務金融委員会に出席し、
基本給などを表す所定内賃金の動向を注視していると指摘、
経済・物価動向に下方リスクがあれば「当然必要な調整を
行う」と述べた。

民主党武正公一委員への答弁。

黒田総裁は所定内賃金について「依然として
マイナスを記録している。部分的にパート比率の
上昇やパートで(労働)時間の短い人が
増えている」と指摘した。

名目賃金と雇用を掛け合わせた雇用者総所得も
今後伸びが高まっていく」としつつ、「なかんずく
所定内賃金の動向を注視する」と述べた。

長期金利について、異次元緩和導入直後の5月ごろ
「不確実性が高まる局面がみられたのは確か」としつつ、
「買入れが進むことで金利低下圧力の高まりがみられ、
最近では0.6%程度で安定的に推移している」と述べた。

今後も「弾力的なオペ(公開市場操作)運営などで
できるだけ長期金利の上昇を抑制したい」と述べた。

日銀が出口戦略で巨額損失を計上する、との
日本経済研究センターによる試算について
「出口の収益への影響は、手段や金利水準によっても
違う。出口運営について具体的な議論をするのは
時期尚早で適当でない」と述べた。

また同総裁は、現在の株式・資産市場について
「バブルは生じていない」と明言した。

ただし資産市場の今後の動向については
十分注視したいと付け加えた。
民主党前原誠司委員への答弁。

黒田総裁は為替について「2008年のリーマン・ショック
以後の異常な円高が修正されており、バブル的な
円安ではない」と述べた。円安の輸出刺激効果が
出ていないのでは、との質問に対しては「輸出数量の
勢いが欠けるのは事実」と指摘した。

金融緩和の出口戦略について「現時点で
具体的に詳細を述べるのは時期尚早」としつつ、
一般論として「国債償還(による残高減少)、
資金吸収オペ(公開市場操作)、付利の引き上げなどが
ある」と列挙した。

景気の現状について「4月以降想定より外需は弱め、
内需は強めで結果的に概ね予想していた形」と指摘。

今後は内需が堅調ななか外需も緩やかに増加し、
消費増税に伴う駆け込みや反動を経ても潜在成長率を
上回る成長により需給バランスが改善し、 2015年度までに
物価目標の2%を達成する可能性が高いと指摘した。