米FRBが外銀への規制強化案を承認、期限1年延長し対象絞り込む

米連邦準備理事会(FRB)は18日、外国銀行に
対する規制強化の最終案を承認した。

国外からの圧力にもかかわらず、当初案から
わずかな点でしか修正がない内容となった。

米国で大きく事業展開するドイツ銀行
バークレイズなどは、新規則によりコストの
高い資本を欧州から移転する必要が生じるとして
提案への反対運動を繰り広げてきた。

当初案から達成期限を1年延ばしたほか、
対象となる銀行の数も絞り込んだが、
大幅な変更はなかった。

最終案は全会一致で承認されており、
タルーロFRB理事(金融規制担当)は
「世界の金融システムに対するわれわれの
最も大きな貢献は、米国の金融システムの
安定を確保することだ」との見解を示している。

FRBによると、最終案は米国内で500億ドル以上の
資産を持つ大手行に中間持ち株会社設立を義務付け、
米銀行と同様の資本、リスク管理流動性に関する
基準を満たすよう求める内容。

FRBは、中間持ち株会社設立が義務付けられるのは、
15〜20行との見方を示している。

当初案では、資産が100億ドル以上の
銀行が対象だった。

新たな規制に沿った組織変更の期限は
1年間延長し2016年7月1日とした。

これらの修正は市場で広く予想されていた。

欧州連合EU)のバルニエ欧州委員(域内市場・
サービス担当)は昨年10月、FRBが外国銀行に
対する資本規制を導入するなら欧州でも同様の
措置を取るとして対抗する構えを見せていた。

バルニエ委員は電子メールで、「詳細な対応に
言及するのは時期尚早」とした上で、「どのような
場合であれ、欧州の銀行より米銀を優遇するような
差別的な措置をわれわれは絶対受け入れられない」
とコメントした。

新規制が導入されれば銀行は資金移動の
柔軟性が現行の体制よりも低下することになる。

FRBは銀行資本規制の一部で、他国よりも
厳しいスタンスを取っており、例えば
レバレッジレシオについて、国際合意水準の
2倍にあたる6%の確保を義務付けることを
提案している。

外銀は最終案の内容がやや緩和されたことに
一定の理解を示しているが、不満の声も出ている。

国際銀行家協会(IIB)を率いるサリー・ミラー氏は
「米銀に対する基準よりも厳格な資本規制が適切で
必要かについて、根本的にFRBと意見が
食い違っている」と述べた。

全世界で総資産が100億ドル以上の外銀は、
本拠とする国の基準に基づいたストレステスト
(健全性審査)の対象となり、米国基準での
審査が義務付けられるのは大手行のみ。

約100行の外銀が何らかの形で
新規制の影響を受ける見込みだ。

今回の会合で採用されたリスク管理及び
流動性に関する基準の多くは、米銀にも適用される。

外銀は米国内に支店を維持することが
認められ、支店は規制の対象外。

だが支店はリスクの極めて高い取引は行えない。

FRBが外国銀行の資本基準を強化する背景には、
欧州やアジアの規制当局が自国の銀行を
救済する場合に、米国子会社に米政府が
公的資金の投入を余儀なくされる可能性が
あるとの懸念がある。