こう着感、続くか

今週の為替相場は、こう着感がなお継続するか。

それなりに材料が出ているものの、こう着相場を
抜け出すにまでは至っていない動きが続いています。

ドル買いも、ドル売りも、方向感が
出にくい展開が続いているわけです。

いつもなら、3月の年度末相場ということで、
それなりに盛り上がりがありました。

しかし、企業の会計手法が変わったことで、
年度末だからといって、大騒ぎしない動きが
強まっていました。

とかく年度末というと、膨大な経常黒字を抱える、
わが国の機関投資家が、海外投資の円転に伴う
円買いを大量に持ち込む動きが見られました。

さらに、巨額の貿易黒字を抱える輸出企業の
円転に伴う円買いを大量に持ち込む動きが、
年度末の円高要因として意識されました。

しかし、経常黒字はその額を減らし、
貿易黒字は今や巨額な赤字に転じています。

敗戦後、経常黒字と貿易黒字を増やすために、
爪に灯をともすように、こつこつと黒字を
積み重ねてきたのに、アベノミクスに伴う
円安誘導で、あっというまに、
赤字に転落したのです。

年度末の特殊要因が消えたことで、
年度末を彩る大きな材料がなくなったわけです。

投資家や企業が、先行きの円相場の動きが
円高に振れるのか、円安になるのか、
それを考えながら、大きくポジションを
動かした時が、相場が躍動するチャンスだと
思います。

為替はドル中心には変化がないため、
ドルの材料も気になります。

ドル買い材料が続いても、ドルの上昇余力が乏しい、
最近の動きをどのように分析出来るのかが、
大きなカギになりそうです。

色々な要因が剥落して勝負した時に、
ドルを買って、損しないのかを
見極める絶好の機会だと思います。

また、イエレンFRB議長が緩和縮小を継続し、
今秋には買い入れを終了する方針を確認しました。

足元の景気減速については寒波の影響として、
米経済の底堅さに変化はないことを指摘しました。

FRBとしては、景気回復→超金融緩和策の解除を
進めているなかで、既定方針どおりの姿勢を
守ることを改めて強調したとみています。

市場の反応は乏しいものでしたが、
一つ一つの経済指標を確認する作業が
続くことになりそうです。

これに対し、ユーロ圏ではECB理事会で
利下げの可能性が強まっているようです。

域内景気が冴えないことやインフレが
低水準にあることなど、金融緩和を行って、
この局面を打破したいと考えているようです。

これまで金融緩和について、慎重な姿勢を
見せていただけに、緩和余地はあるようです。

しかし、金融緩和では問題が解決しないことに
留意する必要があります。

経済がまだら模様になっている域内の
金融政策の舵取りは一段と難しくなってきました。

このように、注意深く、様々な事象を捉えると、
それなりに材料はあり、どこにバイアスを
置くかで景色は大きく変化します。

基本は、こう着相場を意識して、将来の
撹乱要因をしっかり把握したいと思います。

予想レンジは、
ドル円が97.20〜103.20円、
ユーロ円が136.20〜143.20円、
英ポンド円が166.20〜173.20円、
ドル円が86.20〜93.20円。