量的緩和先送りのリスク指摘、ECB初の議事要旨

欧州中央銀行(ECB)が19日公表した1月22日の
理事会議事要旨によると、首席エコノミスト
プラート専務理事が量的緩和QE)を先送りする
リスクを指摘し、最終的にQE決定をめぐり広範な
支持が集まったことが判明した。

ECBとしては初めての議事要旨公開となる。

議事要旨によると、プラート専務理事は「今回の理事会で、
行動を取らないリスクが、行動を取ることに伴うリスクより
大きくなる可能性にも、適切な配慮が必要」と述べた。

理事会では、追加政策手段を公表しない場合、最近の
金融市場動向が反転、変動や不安定の度合いが大きくなり、
追加リスクが発生する恐れがあるとの指摘も出た。

プラート氏の指摘やその後の討論で、出席者の大半が
速やかな行動を取る必要性があるとの認識を共有した。

「今回の理事会で、追加金融政策対応への諸条件が
完全に整っているとの広範な認識があった」とした。

ただ、一部メンバーは、量的緩和
「不測の事態」でのみ行うべきと主張した。

QE決定に至る過程で緊迫した空気が
流れたことがうかがえる。

最終的には、損失リスクの大半はユーロ圏各国の
中銀が負担、ECBの抱えるリスクはわずかに
とどめることで決着し、独連銀が中心とみられる
QE反対派は一定の譲歩を引き出した。

QE反対派は社債買い入れがより望ましい戦略と
唱えたが、市場の小ささを踏まえると、効果は
限定的であることが「広く認識されている」とした。

「同時に、必要なら、この資産クラスを将来の
検討事項から排除すべきでないとの見解が
示された」としている。

またプラート専務理事は当初の買い入れ規模について
月額500億ユーロと提案しているが、理事会は
同600億ユーロの買い入れを決めた。

独連銀など反対派の意向を踏まえると、
買い入れ枠の決定にはやや意外感がある。

ECBは議事要旨の公開開始で、米連邦準備理事会
FRB)やイングランド銀行(英中銀)、日銀などの
主要中銀の慣行に足並みをそろえることになる。

だがユーロ圏では微妙な問題をはらんでおり、
議事要旨内では理事会に出席している
各国中銀総裁の発言は特定されていない。