ドルの上値メドを模索も

今週の為替相場は、ドルが上値の
メドを模索する展開が予想されます。

5日に発表された米雇用統計では、
失業率は5.5%と前月に比べ
0.1%上昇しましたが、非農業部門の
新規雇用者が28.0万人増となったことで、
遅くとも来年早々に米国が利上げを
行うとの見方が強まりました。

これを受けて為替市場では、ドルが独歩高となり、
対円、対ユーロで一段高となりました。

ドルは対円で125円台にあっさり乗せ、
次のドルの上値を模索する展開になっています。

市場では、米雇用統計で新規雇用が
市場の事前予想を上回って増加したことから、
米国の利上げの確率が一段と強まった
との声が出ています。

従来は6月、あるいは年内の利上げを
想定する声が強かったのですが、
FRBの慎重な姿勢を睨んで、年末、
あるいは年明け以降の利上げを想定する声が
出ています。

ただ、利上げは着実に実施される、
そんな見方が広まっていることで、
市場は米利上げを想定した動きとなっています。

ドル円は125円台をあっさり超えたことで、
次のドルの上値メドは128.20円程度が意識されています。

一気に130円台に乗せるには、まだ材料不足感があります。

米国景気の回復、利上げの実施、これだけを考えれば、
時間をかけながら130円台超のドル高を目指すものと思います。

問題は、ドル高・円安に対する各国の見方です。

米国は基本的には為替市場に
委ねるというのがスタンスです。

ただ、ドル高が米輸出に対する
悪影響を与えているのも事実です。

一段のドル高は米国の景気の足を引っ張る可能性が強く、
ドル高が大きな問題になる可能性が出ています。

その兆候は、少しずつですが現れています。

一方、円安を歓迎する日本も、日銀が財務省からは、
過度の円安に対する警戒感が出始めています。

何も知らない政治家からは、円安が日本の景気回復を
後押しをすると見て、円安歓迎の声が聞かれています。

日銀や財務省は、円安がわが国経済に
与える悪影響を懸念しているのです。

逆に、円安が進みすぎれば、その反動が
大きくなることも想定されます。

各国から、日本が円安を放置していると
指摘されることも懸念しているようです。

アベノミクスの最初は、円安に進めることで
デフレからの脱却を目指しており、当初は
その姿勢は各国から容認されている感が
ありましたが、さすがに円安が進み始めると、
円安容認に異議が出ると思います。

各国とも、自国通貨安を演じて、
国内景気の浮揚を図りたいのは事実です。

日本だけが、円安政策を取っていることに、
不信感が生まれる可能性があるわけです。

そうでなくとも、中国のAIIB創設で、
G7の足並みが乱れている中で、各国が
日本を真似て、自国通貨安政策をとったら、
国際金融市場は大混乱する可能性があるわけです。

その辺の加減を、日銀や財務省は考えているわけです。

日本だけが、円安を享受するということは
何としても避けたいのです。

市場は、そうした日銀、財務省の動きを睨んで、
これからは円安許容メドがどの水準かを
意識する動きが出てくると思います。

その意味で、これからの円安は、
警戒感の強いものになると考えます。

予想レンジは、
ドル円は122.20〜128.20円、
ユーロ円が134.20〜142.20円、
英ポンド円が185.20〜194.20円、
ドル円が90.20〜98.20円。