米労働市場は引き締まり、一部で賃金上昇=地区連銀報告

米連邦準備理事会(FRB)は2日公表した地区連銀経済報告
ベージュブック)で、一部の職種や産業で賃金の若干の
上昇がみられるほどに、米労働市場は引き締まっている
との認識を示した。

一方で、企業からは中国経済減速による
影響が出ているとの指摘も出た。

報告は7月から8月中旬の米経済について、
総じて大半の地域や分野で拡大したとした。

労働市場の改善と中国経済の先行き懸念は、
今月にも利上げに踏み切ることを検討している
米国の中央銀行が直面する困難な難題を
浮き彫りにした。

FRBの政策当局者は米国の労働市場が最大雇用の
域に近づいていると考えているものの、中国は
世界経済に大きな影を落としている。世界的な
経済減速への懸念は原油価格の重しになっており、
物価の伸びはしばらく、FRBが目標に掲げる2%を
下回って推移するとみられる。

ボストン連銀の調査先である企業の一部は、
中国の景気減速による影響を感じ始めているとした。

ボストン連銀は「われわれの調査先の多くは中国が
業績を左右する要因だとする一方で、その影響は
今のところわずかだとしている」と報告し、製造業や
IT(情報技術)製品、サービスの需要が中国で
弱含んでいると指摘した。

ダラス地区では原油安や最近の中国懸念でローン需要の
先行きの雲行きが怪しくなってきた。

それでもなお、ほとんどの地区が雇用には控えめ、
あるいは緩やかな伸びがあったとした。

地域によっては労働市場の引き締まりが
賃金の小幅上昇につながった。

リッチモンド地区では一部のヘルスケア企業が
優秀な人材を確保するために契約金を支払っていた。

サービス業でも賃金が底堅く伸びた。

今回の経済報告はボストン連銀が8月24日までに
入手した情報に基づいてまとめた。