9月の日銀短観、中国減速で企業心理に明暗=大企業製造業は3期ぶり悪化

日銀が1日発表した9月全国企業短期経済観測調査
(短観)は、業況判断DIが大企業・製造業で3四半期ぶりに
悪化する一方、同非製造業が4四半期連続で改善するなど、
中国をはじめとした新興国経済の減速の影響度合いが
企業心理の明暗を分けるかたちとなった。

先行きは製造業・非製造業ともに悪化を見込んでおり、
新興国経済の減速懸念や不安定な市場動向が影を
落としている。

大企業・製造業の業況判断DIはプラス12となり、
前回6月調査から3ポイント悪化した。

一方、同非製造業はプラス25と2ポイント改善。

1991年11月調査のプラス33
以来となる高水準となった。

今回の短観は、中国をはじめとした新興国経済減速が
業況判断や設備投資計画などにどの程度影響しているかが
注目を集めた。

結果は、輸出などを通じて影響を
大きく受ける製造業の業況判断が悪化。

特にはん用機械や生産用機械、業務用機械、
電気機械などが新興国の設備投資需要の減退を
背景に軒並み悪化を示した。

非製造業は、堅調なオフィスなどの不動産需要や
訪日外国人旅行客による、いわゆるインバウンド消費などが
業況感改善に寄与した。

ただ、先行きは製造業がプラス10と2ポイント、
非製造業がプラス19と6ポイントそれぞれ悪化を
見込んでいる。

日銀では、新興国経済の減速懸念や株式など不安定な
市場動向が企業心理に影響を与えている可能性が
あるとみている。

事業計画は引き続きしっかり。

2015年度の設備投資計画は大企業・製造業で
前年比18.7%増と前回調査から横ばい。

非製造業は同7.2%増と
2.4%の上方修正となった。

製造業は過去に比べても
高水準にある計画を維持。

非製造業は「過去の平均よりも強い
上方修正のパターン」(日銀)になっている。

日銀によると、足もとで輸出・生産に鈍さが
みられるものの、「国内投資について、ここにきて
計画をとりやめるとの話は聞かれていない」という。

2015年度の経常利益計画は、原油安による
コスト低下などを背景に大企業の製造業・
非製造業ともに上方修正。

2015年度の売上高経常利益率計画も大企業・
製造業が7.59%、同非製造業が4.92%となり、
それぞれ過去最高が見込まれている。