G20声明、市場はどう判断するか

今週の為替市場は、上海G20声明を
市場がどのように読み込むか注目されます。

G7声明では、世界経済の回復と金融市場の安定に
向け、財政出動を含め、全ての政策手段を動員すること
を明記しました。

さらに、世界経済の回復が力強さに欠け減速リスクが
高まったとしながらも、最近の市場の乱高下について
「世界経済のファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)を
反映していない」と危機感を表明しています。

その上で「金融政策だけでは均衡ある成長につながらない」
として、構造改革の加速と機動的な財政政策を実施することを
明言しました。

この中、為替市場に関して「緊密に協議する」とし、通貨の
競争的な切り下げを回避することや「競争力のために為
替レートを目標とはしない」ことを再確認されました。

加えて、英国のEU離脱が決まれば、生じるショックは
「今年最大の経済危機のひとつ」になるとの見解で一致。

また、為替相場の下落につながるような政策決定を行う際に
事前に通知することで合意したことを、デイセルブルム・
ユーログループ議長が明らかにしました。

今回のG20声明では、今世界経済が抱えている危機について、
確認されたものの、具体的な策については、各国に委ねられることに
なりました。

今回のG20では、議長国となった中国の積極的な姿勢が
目立ちましたが、世界経済危機の火元になりそうな
中国としては、中国にその責任を負わせられることを
避けたかったのではないかと思います。

世界経済危機を防ぐ、様々な処方箋が盛られたことで、
為替市場は当初は、好意的に反応する可能性があると
考えます。

ただ、通貨安競争の可能性について、G20会合参加者が
各国に戻って、様々な発言をする中で、声明に
盛り込まれなかった中身が漏れてくるようなことに
なったり、実際には通貨安競争について、明確な
処方箋がなかったことが明らかになると、市場の動揺が
見られる可能性があります。

とりあえず、日本は円安について、各国は
理解したという姿勢を見せ続けると思います。

マイナス金利導入は理解されたとして、マイナス金利
幅を拡大する政策を継続する可能性が高いと思います。

金利安=円安誘導の姿勢を強める可能性があるのでは
ないかと思います。

円高に進んだ場合、あくまでも金利で対抗し、為替介入など
実力を行使する可能性は乏しくなったと思います。

このため、G20声明効果が剥落した後には、再び円が上昇する
可能性には留意が必要だと考えます。

今週は米国では雇用統計の発表もあります。

足元の米経済指標は、予想を上回る数字となって、米景気の
先行きに対する安心感が出ています。

これが、ドルの買戻しに繋がっていますが、雇用統計は
ドル買い安心感を吹き飛ばす可能性があることには注意が
必要だと思います。

非農業部門の新規雇用増が、20万人を大きく下回るような
ことになると、1月と同様に、ドル売りが強まる可能性が
あることには注意が必要だと考えます。

予想レンジは、
ドル円が110.20〜115.20円、
ユーロ円が118.20〜126.20円、
英ポンド円が154.20〜161.20円、
ドル円が75.20〜83.20円。