国連安保理、北朝鮮制裁決議を採択

北朝鮮による6回目の核実験を受け、国連安全保障理事会は11日午後
(日本時間12日午前)、北朝鮮への原油・石油精製品輸出に上限を
設ける米国作成の対北朝鮮制裁決議を全会一致で採択しました。

安保理の制裁決議は9回目ですが、北朝鮮への原油輸出が
制裁対象となるのは初めて。

核ミサイル開発を急速に進める北朝鮮への懸念の強まりを背景に、
米国が調整を急ぎ、核実験から約1週間という異例の早さで採択に
至りました。

米国は当初「最強の制裁」(ヘイリー国連大使)を主張し、
戦略物資である石油の全面禁輸や、金朝鮮労働党委員長を
渡航禁止や資産凍結の制裁対象とすることを求めていました。

ただ、北朝鮮の不安定化を懸念する中ロとの交渉で米国が譲歩し、
いずれの措置も見送られました。

ヘイリー氏は採択後の演説で、「北朝鮮はまだ引き返せない状況ではない。
北朝鮮が核計画の停止に同意すれば、未来を取り戻せる」と強調。

その上で、「危険な道を進み続けるなら、さらなる圧力をかけ続ける」と
警告しました。

中国の劉国連大使は、「北朝鮮は核ミサイル開発停止を求める国際社会の
意志を真剣に受け止めるべきだ」と要請し、平和解決を改めて訴えました。

決議は、北朝鮮への原油の供給、販売、移転の年間上限量を
過去12カ月の総量と決めました。

現状の輸出量は維持される形で、実質的な打撃となるかは不透明ですが、
石油精製品の供給、販売、移転の年間上限量を200万バレルに設定しています。

米当局者によると、原油、石油精製品の北朝鮮への年間輸出量は
計約850万バレルで、上限設定で30%削減を見込んでいます。

コンデンセート(超軽質原油)と天然ガス液(NGL)については
全面禁輸となりました。

核ミサイル開発の資金遮断のため、外貨収入源の締め付けも強化し、
北朝鮮の主要輸出品である繊維製品を全面禁輸としたほか、
国外で働く北朝鮮労働者の受け入れも原則的に禁止しました。

ただ、制裁委員会への報告を条件に、現時点で就労許可がある場合、
契約満了まで受け入れ継続を認めています。

決議は3日(現地時間)の核実験を強く非難しました。

その上で、平和解決を強調しつつも、北朝鮮が新たな挑発に
出た場合、さらなる重大な措置を取る決意を表明しました。

また、公海上で船舶が決議違反の物資を運んでいるとの情報があれば、
旗国の同意の下、加盟国が臨検を行うことを求めています。