ドル、米内政を材料視

今週の為替相場では、ドルはやや落ち着いた動きを
することが想定されます。

トランプ大統領のアジア歴訪は、各国で様々な商談を
まとめて、一流ビジネスマンとしての力を世界的に見せました。

日本はともかく、韓国、中国で示した詳細は見事なものでした。

北朝鮮も、この間は、ミサイル発射や核実験を実施せず、
必要以上にトランプ大統領刺激することはしませんでした。

これに対し、米国は空母3隻を日本海に集め、北朝鮮
威嚇していますが、これに対しても北朝鮮は威嚇する動きは
見せず、淡々と米空母の北朝鮮威嚇作戦が進むことになっています。

米国で今、関心を集めているのは、法人税の減税の動きです。

当初は早めに実施されるのではないかとの観測が広がって、
これが米経済の支援材料となる見込みからドルが上昇する動きが
見られました。

しかし、ここにきて、年内の法人税の減税は難しく、来年に
先送りされるとの報道が流れると、ドルはじりじりと下値を
切り下げる動きを見せています。

また、米閣僚を巡る、ロシア絡みのマネーロンダリングの動きが
出たことなど、再びトランプ政権のロシア疑惑が大きな問題と
なっています。

アジア歴訪の陰で、米国では、トランプ政権のロシアゲート問題が
材料視されているわけです。

どんな形で、トランプ政権の高官と、ロシアのかかわりがあるのかを
探る動きが米国内では強まるのではないかと思います。

もちろん、トランプ大統領はこうした報道を取材していますが、
トランプ大統領に近い筋に司直の手が伸びているような感じがします。

また、FRB議長の選任も終了し、FRBは従来通りの金融政策を
維持すると見込まれています。

12月の利上げは既定路線とみられますが、その後の動きは、
より慎重に米国の経済を見極める動きが予想されます。

この点、ドルを一方的に買い上げるような材料が少なっており、
12月の利上げを見込みながら、ドルの上昇は緩やかなものに
なると見込まれます。

この中、ユーロ圏では、スペインのカタルーニャ州の独立問題が
引き続き意識されることになりそうです。

スペイン政府は、カタルーニャ州の知事など、責任者の逮捕を
目指し、スペイン政府がカタルーニャ州を直接統治する動きを
強めています。

カタルーニャ州では、これまでの独立賛成派に加え、
反対派の動きも強まってきました。

これが衝突するようなことになれば、スペインの政情不安が
意識される可能性が出ています。

この動きが、独立派を抱える他国に反映すると、ユーロ圏の
タガが緩む可能性もあり、そうなれば、ユーロにとっては
悪影響を及ぼすと考えられます。

米国、欧州での内政の不透明感が、ドルやユーロに与える
悪影響を注視したいと考えます。

一方、日本は、安倍政権の強気の姿勢が今後も続くと思います。

国民感情はともかく、脆弱な野党に対する期待感が弱まる中で、
安倍首相はやりたい放題の動きを強めるものと思います。

日本では、韓国や他国ほど、政府に対する直接行動を起こす
動きはないとみられます。

日本は、引き続き北朝鮮からのミサイル発射をびくびくしながら
待つものと見られます。

予想レンジは、
ドル円が108.20〜116.20円、
ユーロ円が128.20〜136.20円、
英ポンド円は146.20〜154.20円、
ドル円は84.20〜92.20円。