ドルの下押しに要注意

今週の為替相場は、引き続きドルの下押しを
注意する必要があると考えています。

トランプ大統領が指摘した貿易戦争で、
為替市場は大きく変化しています。

これまでは、どこかで理性的な動きが出てくると
思っていましたが、貿易戦争を宣言したトランプ大統領
発言を受けて、為替相場は不安定な動きとなっています。

対中だけでなく、全世界を相手に貿易戦争を
仕掛けることになってきたため、欧州からは
早速反発の声が出ています。

米国と欧州がやり合うことが良いのか悪いのか、
現状では圧倒的に悪いと考えます。

これまで米国と欧州は共通の敵がいたと思うのですが、
経済的に世界を席巻している中国に欧州がすり寄る形と
なっている中で、米国が欧州を敵扱いしたことで、
欧州の米国離れを強めるのではないかとも思います。

さらに、米国はイスラエルの首都をエルサレム
容認しましたが、これも欧州からは不満が大きいと思います。

中東の火種を消すために、欧州は様々な苦労をしていましたが、
こうした努力を一気に吹き飛ばしてしまう、米国の決断でした。

米国が孤立することはないと思いますが、
それでも米国の重みが一連の出来事で減少すると考えます。

そうなると、ドルの信認にも発展する可能性があるので、
今後のトランプ大統領の発言には注意が必要だと思います。

一方、日本では、依然として超緩和政策を堅持するものと思います。

しかし、物価目標2%が達成されたら出口戦略を考えると
指摘した黒田日銀総裁の発言は大きかったと思います。

市場は、早速、日本の出口戦略を材料に円買いを
強める動きを見せました。

もちろん、今すぐに、出口戦略ということはないのですが、
これまでは出口戦略を一言も触れなかっただけに、
市場は出口戦略がテーブルに乗っていると思っているわけです。

この中、北朝鮮問題は、韓国との協議が始まり、
一時の朝鮮半島の危機は遠退いています。

米朝の対話も、あるのかもしれない、
そんな雰囲気が広がっています。

これも一つ一つ問題をクリアする必要があるかと思います。

とは言え、朝鮮半島を巡るリスクは大きく減退したと考えます。

今、為替関係者が考えているのが米国内の問題が
最大のリスクと考えているので、まずはトランプ政権の
諸問題に取り組む姿勢が大きな影響を与えるのではないかと考えます。

予想レンジは、
ドル円が102.20〜108.20円、
ユーロ円が126.20〜134.20円、
英ポンド円が142.20〜150.20円、
ドル円が78.20〜86.20円。