ドル、下値は堅いか

今週の為替相場は、ドルの下値の堅さを
確認する展開が予想されます。

不透明だった米朝首脳会談は、6月12日に
開催されることが改めて確認され、非核化に
ついても段階的に進む可能性が強まっています。

当初は、非核化を巡り即時非核化を主張する米国と、
段階的な非核化を望む北朝鮮との首長の違いから、
会談そのものの開催が危ぶまれていました。

しかし、米朝の交渉の結果、米国は非核化を段階的に
行いたいとする北朝鮮の主張を認める構えを見せており、
これが会談を行う、大きな材料になったようです。

また、イタリアでの反EU政権の誕生で、イタリア政局が
混迷していることも、ドルにとっては弱材料と
みられていましたが、結局、イタリアでは反EU政権が
誕生しました。

当初、経済関係の閣僚に押されていた人物が、
外されたことで、イタリアの大統領がこの内閣を
認めたことで、一応、新内閣は発足、政局の混迷が
一時的にとどまったことで、とりあえず、イタリアの
内政問題は収束したことで、国際金融市場に与える影響は
軽微との見方も出ています。

ただ、基本的には反EU政権の誕生で、今後、折に触れて、
欧州の不透明感を加速する材料になりかねず、
イタリア情勢は懸念材料として意識されるものと思います。

この中、発表された米雇用統計では、失業率が改善、
非農業部門の新規雇用も拡大したことで、米経済に
とっては良い材料となりました。

株価は上昇、FRBの利上げも年3回を目指して順調に
行われるものと思います。

米朝首脳会談、イタリア政局の不透明感を材料に
売られたドルが買い戻される絶好の材料が出揃いました。

とはいうものの、ドルの戻りは緩やかなものになるのでは
ないかとみています。

これまで、リスク回避のドル売りが一転、
ドル買いに転じたものの、その後、ドル売りに
転じるなどを経験したことで、米朝首脳会談
その結果を見極めるまで材料にしにくいとの見方が
出ています。

さらにイタリア情勢も、内閣が発足することは
できたものの、反EUの姿勢が強まって、ユーロ圏内での
軋轢が強まった場合には、再び不安感が強まる
可能性もあります。

ただ、好調な雇用統計の発表で、7月の利上げ観測が
強まるなど、金利面ではドルの強い支えになることが
想定されます。

この金利差を受けてドル買いがどこまで続くのかを
注視したいと思います。

予想レンジは、
ドル円が106.20〜112.20円、
ユーロ円が124.20〜130.20円、
英ポンド円が143.20〜149.20円、
ドル円が78.20〜84.20円。