豪中銀議事録、「ある時点で引き締め必要」との表現削除

オーストラリア準備銀行(中央銀行)が19日公表した
7月の政策決定会合議事録は、まだら模様の国内経済や
欧州の金融危機リスクを考えれば、インフレ見通しを
評価するためさらに時間をかけることが賢明だとの認識を示し、
「ある時点で政策を引き締める必要がある」との表現を削除した。

議事録は、好調な貿易収入や活発な鉱山向け投資を背景に、
豪経済の中期的な見通しが引き続き明るいことに自信を
持っているとしながらも、「最近の情報は、国内インフレ圧力の
強さを評価するためさらに時間をかけることが
賢明であることを示している」と指摘した。

豪中銀は7月27日に発表される第2・四半期の
消費者物価指数(CPI)に注目している。

議事録は「CPIの結果はインフレに関する見解を形成するために
重要な役割を果たすため、将来の金利動向にとっても重要だ」と指摘した。

一方、今回の議事録からは「ある時点で引き締めが必要になる」
との表現が削除され、中銀が金利について中立的なスタンスに
転じたことを示唆する形となった。

中銀は2010年11月に金融引き締めを
実施して以来、金利を据え置いている。

市場は、世界や国内経済に関する弱気の見方から、
年末までに少なくとも1度の利下げが行われることを
織り込んでいるが、議事録では利下げの可能性について言及はなかった。

国内経済については、今年初めの洪水を受けた石炭生産の遅れにより、
豪経済が2カ月前の見通しほど高いペースで成長するとは考えにくいと指摘した。

また、家計部門は所得が順調に伸びているにもかかわらず、
財政状況への不安から支出や借り入れに慎重になっていると指摘。

住宅市場は軟調で、住宅価格が下落している一方で
ローン返済遅延が非常に低い水準からやや増加しているとの見方を示した。

さらに、雇用の伸びが鈍化しているため、労働市場
それほどひっ迫しておらず、豪ドル相場の上昇が
一部のセクターに悪影響を与えていると指摘。

世界経済に関しては、今後2年間にわたり力強く拡大する
との見通しに変わりはないが、「欧州の金融ショックがもたらす
悪影響に伴うダウンサイドリスクは、2〜3カ月前に比べ
著しく高まっているようだ」と述べた。

また、主要輸出品であるコモディティの価格が中国や
アジアによる需要で高水準で推移しているため、
オーストラリアの交易条件は第2・四半期に
過去最高に達した模様だと明らかにした。