ユーロ圏首脳が第2次ギリシャ支援で合意 EFSFの機能拡充

ユーロ圏17カ国の首脳は21日の首脳会議で、
民間部門の参加などを盛り込んだ対ギリシャ第2次支援策で合意した。

昨年5月に合意した欧州連合EU)と国際通貨基金IMF)による
1100億ユーロの支援に続く措置。

今回はEUIMFからの公的支援としての
1090億ユーロ(1570億ドル)を供与。

さらに、欧州金融安定ファシリティー
(EFSF)の機能強化なども決めた。
同支援策の詳細は9月に確定する見込み。

会議後、サルコジ仏大統領はEFSFが持つ新たな機能について
「欧州通貨基金の基礎を作ることで合意した」と述べるとともに、
今回の支援策によりギリシャ国内総生産GDP)の約1.5倍に
膨らんだ公的債務を24%ポイント圧縮できるとの見通しを示した。

また、ギリシャパパンドレウ首相は2020年までの
資金調達ニーズに対応するメドが立ったと述べた。

金融市場は好感したが、支援策の効果について、
中期的にギリシャの債務再編を回避するのに
十分な措置かどうか疑問視する声も出ている。

今回合意した支援策は、1)ギリシャに対し、EFSFとIMF
2014年半ばまでに1090億ユーロを融資する、2)ユーロ圏各国は
ギリシャ各銀行の資本を増強するため合計200億ユーロを拠出する、
3)ギリシャアイルランドポルトガル3カ国向けの
EFSF融資の条件を緩和する、4)圏内諸国の債務危機
回避するためEFSFとその後継機関として2013年に発足する
欧州安定メカニズム(ESM)に予防的な融資権限を与える、
銀行や保険会社などの民間投資家も債券スワップなどを
通じてギリシャ支援に参加する、などが柱。

首脳会議では、支援の条件である緊縮財政策の影響で疲弊した
ギリシャ経済を活性化させるための「マーシャルプラン」
も約束したが、具体的な内容は明らかにしなかった。

EFSFの機能拡充は、ギリシャなどの債務不履行懸念により、
スペインやイタリアなど、より経済規模の大きい国まで
市場にアクセスできなくなる事態を防ぐことが狙い。

ECBが危機対応のため必要と判断した場合にはEFSFが
流通市場で債券を購入することを認め、域内の国が
クレジット市場から締め出される前にEFSFが
その国に対して予防的信用枠を設定できるようになる。

EFSFの機能拡充には、ユーロ圏各国の議会の承認が必要。

外交筋は、第2次支援で民間が参加することになったため、
ドイツやオランダ、フィンランドも承認するとみている。

ギリシャアイルランドポルトガル3カ国向けの
EFSF融資の条件については、融資期間を7.5年から15年に延長し、
現行4.5〜5.8%の金利を3.5%程度に下げるなど、大幅な緩和で合意した。

民間投資家の支援参加は、保有するギリシャ債を
より長い期間で低金利の債券と交換するなどの形で実行する。

ユーロ圏首脳は、民間部門の債券ロールオーバー(借り換え)や
交換による寄与が370億ユーロと想定。

それに加えて債券買い戻しプログラムによる
寄与は126億ユーロと見込まれている。

国際金融協会(IIF)は、民間セクターの関与案として、
交換3案とロールオーバー1案の4つのオプションを示した。

債務の交換・ロールオーバーは、EUによる第2次支援と
ほぼ同等の金利で実施され、償還期間は最大30年となる。

4つのオプショの割合は、それぞれ25%ずつと想定されている。

4つのオプション内容は、1)30年債との額面での交換、
2)償還を迎える国債を額面で30年債とロールオーバー
3)額面の80%での30年債との交換、
4)額面の80%での15年債との交換。

金利は、1)と2)が4.5%、3)が6.42%、4)が5.9%。

IIFによると、債券交換により
ギリシャ債務は135億ユーロ軽減される。
これには債権者の90%の参加を目標としている。

この措置によるギリシャの資金調達は2011年半ばから
2014年半ばに540億ユーロ、2011年半ばから
2020年末は1350億ユーロとなる。

サルコジ大統領は、民間投資家が参加する債券交換スキームにおいて、
格付け会社ギリシャを選択的デフォルト(債務不履行)と判定する
可能性があることを認めた。

その上で、ギリシャの銀行の支援策として、欧州中央銀行(ECB)の
流動性供給を受け続けられるよう、必要ならギリシャの銀行向けに
保証を付ける用意があることも明らかにした。 

ユーロ圏首脳の合意を受け、
金融市場ではユーロ、欧州株が上昇。

STOXX欧州銀行株指数は4.1%高、
保険株指数も3%上昇して終了した。
イタリア株やスペイン株が上昇した。

ユーロ圏周辺国国債の独連邦債との利回りスプレッドは、
首脳声明草案が明らかになった段階で、2週間ぶりの水準に低下した。