投資家が円を資金の逃避先として選好=与謝野経財相

与謝野馨経済財政担当相は22日朝の閣議後会見で、
外為市場で円が一時、対ドルで4カ月ぶり高値となる
78円前半へ上昇したことについて、投資家が資金の
逃避先として円を選んだ結果だとした上で、国内の
景気回復への影響は「多分ない」との考えを示した。

与謝野担当相は最近の円高に関し「安全な資金の逃避先として、
この瞬間は金、あるいは日本国債が選ばれている」と指摘。

円高は「海外投資家の世界全体の金融情勢に
対する判断で起こっている」と分析した。

担当相はこれまで、日本の景気は来年にかけて
回復するとの見通しを示しているが、現在の円高
その足かせとなる可能性を問われると「多分ない」と応じた。

内閣府はこの日の閣議に、2011年度の
年次経済財政報告(経済財政白書)を提出した。

与謝野担当相は白書の副題を「日本経済の本質的な力を高める」
としたことを紹介し「本質的な力は日本の人材や科学力、技術力、
労働力、対外通商関係、もろもろの要素で成り立っている。
日銀に国債を引き受けさせて、一時的に経済をブーストさせるとか、
そういう話ではない」として、改めて日銀の国債引き受けに懸念を表明した。

その上で、持続的な経済成長には学校教育など「経済に縁遠い話も、
実は日本の本質的な力に重要な関わりを持っている」として、
「上っ面の経済指標を見ただけの考えでなく、本質的な
経済力を構成する要素を強くする」ことが大事だと話した。

今回の白書に、社会保障改革の必要性を訴える記述もあることには
「正しいことを考えるのは、誰が考えても同じように正しくなる」と、
担当大臣としての見解を表明。

作成段階での関与を記者団から問われると
「一切ない」と否定した。

一方、復興増税に関しては、野田佳彦財務相
平野達男復興担当相の発言に「お金は必要なだけ
借りるけどなるべく短期間で返し切りたい
ということがにじみ出ている」と指摘。

「私もそういう考え方でいくべきかと思っている」と同調したが
「短期間で返すとなると一時的な負荷が大きい。どういう税
(で復興債の償還財源を調達する)かということは、
7月末にかけてかなり大事な議論になる」と話した。