米債務上限問題、政府・議会指導部が引き上げで合意

オバマ米大統領は31日、ホワイトハウス
民主、共和両党指導部がデフォルト(債務不履行)を
回避に向け連邦政府の法定債務上限を引き上げるとともに、
今後10年で約2兆5000億ドルの財政赤字
削減することで合意したと発表した。

大統領は議員らに対し、「やるべきことをやる」よう要請、
合意案の承認を強く促した。

ホワイトハウスや議会指導部によると、合意案は、
1)裁量的支出を今後10年間で9170億ドル削減した上で、
さらに最低1兆5000億ドルを削減するための特別委員会を設立する、
2)同委員会が十分な削減策を見つけられなければ、
1兆2000億ドルの自動的な支出削減を求める、などが主な内容。

オバマ大統領は今回の合意でデフォルト回避が可能になり、
米国は今後8〜12カ月間、危機を防止できると述べた。

共和党民主党の両指導部の合意を受け、上院は妥協案の採決を
米東部時間の8月1日に行う可能性が強い。

また、ベイナー下院議長(共和党)は「できる限り早期」に
下院での採決を目指す考えを明らかにした。

金融市場では、交渉妥結期限とされていた8月2日の前に
両党合意が成立したことで安心感が広がり、
株価指数先物が急伸し、ドルも反発した。

オバマ大統領はホワイトハウスで記者団に
「議会のメンバーによる極めて重要な投票が残っているが、
上下院の両党の指導部が赤字を削減し、経済に
破壊的影響を及ぼしかねないデフォルトを
回避する合意に達した」と述べた。

民主、共和両党指導部は妥協案について
1日に党内の説得工作に乗り出す予定だ。

上院指導部は合意を発表したものの、
下院で妥協案に対する支持票が
集まっているかどうかは依然不透明だ。

民主党ペロシ下院院内総務は31日、交渉で協議されている
条件を党内に売り込むのは厳しいとの見方を示した。

同院内総務の賛同を得ることは、共和党の造反を
相殺するだけの民主党議員の支持票を
確保するために不可欠とみられている。

債務協議の合意によって、とりあえず当面の危機は
回避できる可能性がでてきたが、議会調整の難航は
ワシントンの機能不全の常態化や資本主義超大国としての
米国の地位の低下などを象徴しており、
今後も危機再発の懸念が残っている。