協調介入は望み薄

急激な円高・ドル安が進む中で、わが国では円高の速度が速すぎるとの指摘が強まっています。

特に、経済界の中からは、この円高では日本の生産が空洞化するとの恫喝も聞かれています。

もちろん、円が上昇することにより、国内での生産は機能しなくなるというもので、正当な批判でもあると思われますが、円安の時は、そういう批判は一切無く、円高が進むと声高に円高を非難するというものです。

円高が進めば、それは輸出企業の経営状態は厳しいものと考えています。

しかし、もともと輸入して、それを加工して、輸出するというのが、わが国の輸出の動きでした。

円高で、輸入品は価格が下落し、最近では海外である程度品物を作り、半製品という形で輸入して、それを完成させて輸出しているという状態であることを考えると、ストレートに円高が、企業の経営に悪影響を与えるというものではないと考えることが出来ると思います。

100%、円高が得に今日を与えないといっているのではなく、円高の進展の悪影響を少しでも補おうという姿勢があったことも事実です。

さらに、円高だからといって、各国が協調介入しているくれる素地には無いということです。

米国にとっては、ドル安が、株安、債券安につながるような、いわゆるトリプル安につながる動きとなれば、即座に介入を行うと思います。

米国自身が、ドル安を放置した場合に、問題が起こると考えれば、日本が何を言おうが、言うまいが介入を行うということだと考えます。

これに対し、欧州も少なくとも、ユーロの今の水準は介入を考える水準ではないことは確かです。

3月の協調介入は、日本からの要請があったものですが、当時は、東日本大震災で日本が自信を失っている時で、今、円を支えないと、世界経済に変調をきたすと考えたから協調介入を行ったと思っています。

今は、少なくともそういう場面ではありません。

確かに円は、対ドルで76円台と過去最高値に迫る水準に上昇していますが、日本にダメージは与えるものの、ドルやユーロにとって、今の水準は危機感を誘うものではありません。

だから、財務相円高を注視しているといっても、断固とした手段をとるという姿勢はまだ示していません。

円高だからといって、円売り介入に期待するのは、ちょっと早いかな、そう考えています。

市場がコントロールできないと感じるくらいに円高が進んだ場合には、即座に協調介入が実施されると思います。

その水準は、一気に70円を超えるような円高が見えた場合と考えています。