世界経済の低迷が英国のインフレを抑制=英中銀金融政策委員

イングランド銀行(英中央銀行)のブロードベント金融政策委員は26日、
世界経済の低迷が高水準にある英国のインフレ率を押し下げる
要因となる見通しで、ポンド相場はしばらく軟調な動きが
続くだろう、との見方を示した。
トムソン・ロイターのロンドン本部でスピーチした。

ブロードベント委員は、英国では賃金の伸びが低い上、
中期的なインフレ期待も高まっていないため、
金融政策のフレームワークは引き続き信頼されていると指摘。

「最も重要な点は、世界的な環境が明らかに
ディスインフレ的であることだ」と語った。

さらに「米国の低成長やユーロ圏のソブリン債務危機、
それらが英国や欧州の銀行のファイナンスコストに
及ぼす影響により、リテールセクターの信用が
さらにひっ迫し、国内の経済活動が一段と鈍化する
可能性がある」とした上で、「これらの影響はすでに
目に見える形で現れており、中期的には、ポンド安が
国内のインフレに及ぼす影響をしのぐ効果を
もたらすだろう」との見方を示した。

同委員は、過去のインフレはポンド相場が2007年と
2008年に約4分の1下落したことが大きな要因になった
とした上で、ポンド安の主因は、政府支出に依存していた
英国経済をリバランスする必要性だったと指摘。

金融政策はポンド安の原因ではなく、インフレ率が
目標を上回るのを中銀が容認していなければ、
失業率はさらに高くなっていただろうとの見方を示した。

その上で、「硬直的」な銀行システムが英国経済を
輸出比率を高める方向にリバランスさせる努力を
損なう可能性があるため、ポンドの軟調な局面は
長期化する可能性がある、との見通しを示した。