世界経済に下振れリスク、日本経済は立ち直る途上=日銀総裁

日銀の白川方明総裁は29日午後に都内で開かれた
全国信用金庫大会であいさつし、世界経済は
「先行きをめぐる不確実性や国際金融資本市場の
緊張の高まりのなかで、下振れリスクに
より留意すべき情勢にある」と述べ、新興国や資源国も
「物価安定と成長が両立する形で、経済が
ソフトランディングできるかどうか、
なお不透明感が高い」と指摘した。

一方、日本経済については震災後の落ち込みから立ち直る途上にある、
とし、「堅調な海外需要を背景とする輸出の増加や、復興需要の顕現化などから、
2011年度後半以降、緩やかな回復経路に復していく」
との従来からの見解を繰り返した。

欧州は、財政懸念の強い諸国の国債を多く保有している
銀行の株価が下落していると指摘。

「米欧の財政、金融の動向と、その実体経済への影響について、
注意深くみていく必要ある」と述べた。

海外情勢を巡る不確実性が高いために市場参加者の
リスク回避姿勢が強まり、米国やドイツ、日本の国債
スイスフランや円に資金がシフトしていると指摘し、
「その結果生じる為替・金融資本市場の変動は、
わが国の企業マインド、ひいては経済活動にも
マイナスの影響を与えかねない」との懸念を示した。

なお、日本の金融システムは
「全体として安定性を維持している」と指摘。

「欧州の財政問題を背景に国際的な金融資本市場が
不安定な状況にあるもとで、外貨建債券や株式など
有価証券にかかるリスク管理が一層重要」と強調した。