金融危機の背景に先進国の高齢化=西村日銀副総裁

日銀の西村清彦副総裁は30日、都内で講演し、
リーマン・ショックなど金融危機が発生する背景に
「人口高齢化という人口動態の変化がある」と指摘。

これから高齢化が始まるアジア諸国でも
「先進国が経験したのに似た問題を
経験する可能性を否定できない」と警鐘を鳴らした。

西村副総裁は「日本、米国、欧州で発生したバブルの生成と崩壊、
及びその後の金融危機は、概ね人口ピラミッドの転換点に
一致しているように見える」と指摘。

何人の生産年齢人口で非生産年齢人口1人を支えるかを示す
「生産年齢人口・非生産年齢人口比率」がピークアウトし、
高齢化が開始する転換点に着目した。

中国の生産年齢人口・非生産年齢人口比率が、
2010〜2015年ごろにピークアウトし、
その後急速な低下に転じるとの見通しを示した。

その他多くのアジア諸国でも、「中国と同様の推移をたどる見通し。
いくつかの国では高齢化が中国以上に急激な形で
進むことが見込まれる」とした。

一方、金融危機のように、発生確率が小さいが、
生じると大きな損失が生じる「テールリスク」について、
中央銀行は、金融機関の破たん防止や金融システムの
安定化のため行っている「マクロ・プルーデンス政策」によって
「把握するための十分に信頼できる指標も、万能薬も
持ち合わせている訳でない」とし、同政策への過信を戒めた。