洪水被害続くタイ首都で緊迫度高まる、知事「事態さらに悪化の恐れ」

7月下旬から大雨による洪水被害に見舞われているタイでは24日、
首都バンコク北部に達した洪水がさらに中心地へ拡大する
様相を呈しており、緊迫度が高まっている。

過去50年間で最悪とされる今回の洪水では、
これまでに少なくとも356人が死亡し、
被災者は250万人に上っている。

11万3000人以上が一時避難所で過ごしており、
72万人が医療処置を必要としている。

特に被害が大きかったのは、同国中部とパトゥムタニ県、
ノンタブリ県、アユタヤ県といったバンコク近郊の工業地帯だが、
人口1200万人超を擁するバンコクでも河川や運河の堤防が
決壊の恐れが高まっており、緊迫の度合いが高まっている。

週末にはバンコク北部の住宅地ラクシー地区と
ドンムアン地区で水位が2メートルに達したことから、
住民数百人が避難した。

バンコクのスクムバン知事は記者会見で
「われわれの判断によると、状況は深刻度を増しており、
さらに悪化する見込みだ」と述べ、事態が
危機的状況になる可能性があると警告した。

インラック首相は週末、洪水が引くには
最大6週間かかるとの見通しを示した。

月末が潮位の高まる時期となることから、当局では、
大量の水を海へ放出する努力を続けている。

経済的にも大きなダメージが予測されている。

中央銀行は、従来予想で4.1%増と見込まれていた
今年の経済成長率が洪水の影響で3%前後に抑えられる
との見通しを示しており、一部アナリストは
国内総生産GDP)の伸びが2%未満になる
可能性もあると指摘している。