ポルトガルを投機的等級に格下げ、債務などリスク=フィッチ

格付け会社フィッチ・レーティングスは24日、
ポルトガルの信用格付けを従来の「BBBマイナス」から引き下げ、
投機的等級である「BBプラス」に引き下げた。

膨大な財政不均衡、多額の債務、経済見通しの悪化から
緊縮財政措置の履行にリスクがあることなどを理由としている。

4月から置かれていたレーティング・ウォッチ・ネガティブ
(RWN)は外した。
見通しはネガティブ。

フィッチは、同国が今年と来年の財政目標は達成できる
との見通しを示した上で、リセッション(景気後退)の
深刻化により政府の財政赤字削減は「これまで以上に難しく」
なっているとし、マクロ経済状況の悪化や不十分な歳出抑制のために
目標が達成できないリスクは大きいと指摘した。

ポルトガルは、欧州連合EU)と国際通貨基金IMF)の
支援プログラムの下、財政赤字の対国内総生産GDP)比率を、
今年は2010年の10%付近から5.9%に、
来年は4.5%に低下させる必要がある。

格下げを受け、前日終盤時点で12.71%だった
ポルトガル10年債利回りは、13.15%に急上昇。

独連邦債との利回り格差は
21ベーシスポイント(bp)拡大し1095bpとなった。

フィッチは、政府系企業が財政リスクをもたらす
新たな主要因になっているとの見方を示した。

政府系企業が原因となって、今年すでに債務と
財政赤字の拡大修正が何度も行なわれていると指摘。

これらリスクを踏まえ、政府が2012年にさらなる
財政再建措置を講じなければならなくなる
可能性はかなり高いとしている。

債務危機が同国の銀行セクターに大きなリスクをもたらしているとし、
同国銀行には「資本増強のほか、欧州中央銀行(ECB)による
一段の流動性供給が必要になる」との見解を示した。

財政や経済状況が一段と悪化すれば、さらなる格下げに
つながる可能性があるとし「2013年末までの資金は
確保されているが、好ましくない市況が長引けば、
(支援)プログラムの終了に向かってソブリン債
流動性リスクは非常に高まる可能性がある」と警告した。