日本株と円に強気、証券株なら野村より大和=ジム・ロジャーズ氏

米著名投資家ジム・ロジャーズ氏は25日、東京都内で講演し、
日本の株式と円に強気の見解を示す一方、欧州と新興国
株式には弱気との見方を示した。

欧州の問題は根深く、信用問題がスペイン、イタリアに
急速に広がってきたことで、金融機関の経営に問題が広まり、
それが経済全体にも問題を引き起こすことになるのが懸念材料と述べた。

長らく低迷してきた日本株は買いの好機との見方を示し、
ユーロやドルの経済圏が混乱するなか、円は逃避先として
資金流入が見込まれるとの見方を示した。

ロジャーズ氏は日本株について、過去20年以上、
日本株投資をしてきた投資家で「いい思いをした人は
いなかった。だからこそいま楽観的に考えられる」と指摘。

なかでも、農業関連や天然資源関連の銘柄は
買いとの投資戦略を語った。

「世界的に農業問題が深刻化する時期にあり、農業は
今後20〜30年で最も成長の見込める分野」と話した。

自身の私生活を振り返りながら、かつては人生のなかで
子供は時間の無駄と考えていたが、現在2人の娘を授かり、
その考えは間違っていたと分かったと述べた上で、
「私の家族にはハローキティ―のファンがおり、
サンリオの株式も投資している。
タカラトミーの株も持っている」と語った。

また、日本株のなかでは、多くの投資家が
弱気の証券株も魅力的とした上で、
野村ホールディングスがリーマンブラザーズを
買収したのは良くない判断だった。私なら
野村の株は買わず大和を買う」とコメントした。

ロジャーズ氏は、野村のリーマン買収に好印象がない理由として、
リーマン買収時に旧リーマン社員に非常に高額の給与や
ボーナスを約束し、人材を確保したが、その契約期間が
切れると辞めていった人材が多かったと指摘。

その上で、「大和はリーマンを買わずにいて
賢明だったと思う時が来るのかもしれない」と語った。

一方、為替については、欧州のソブリン問題や
世界的なマクロ環境の不透明さを考えると、
円が逃避先として買われやすい環境になるとし、
一段の円高を予想した。

ロジャーズ氏は、「どの程度の期間、円にブル(強気)かは
分からない」としながらも、「為替、経済、社会的な混乱が
さらに発生すると予想され、その間、日本が
セーフヘイブンになる。2〜3年は
日本の円がさらに高くなるだろう」と述べた。