欧州中核国も国債利回り上昇、世界金融危機回避が重要=日銀総裁

日銀の白川方明総裁は25日、都内で開催された全国証券大会であいさつし、
欧州では市場の緊張が続き銀行株が下落し銀行間金利が上昇、
「財政不安の強い周辺国だけでなく、それ以外の国債利回り
上昇している」と指摘。

リーマンショックのような世界金融危機に陥る事態を
回避することが何よりも重要」と強調した。

欧州ソブリン問題については、欧米の実体経済に影響を与えており、
欧州の財政と金融、実体経済の負の相乗作用が、世界経済の下振れを
もたらす可能性がある、と警告。

欧州金融機関が資産圧縮を更に進めれば、「新興国・資源国の
貿易金融などに影響が及ぶ懸念もある」と述べた。

日本の景気にも「夏場以降、円高や株安といった形で影響を
及ぼしている」とし、国内市場や金融システムへの影響について
「細心の注意を払っていきたい」と強調した。

日本経済の先行きについては、「当面、海外経済の減速や円高に加え、
タイの洪水の影響を受ける」とし、その後は新興国経済などに支えられて
成長率が再び高まる、との従来見解を繰り返した。

国内金融システムについても「全体として安定性を維持しており、
金融環境は緩和の動きが続いている」と指摘した。

ただ「最大の不確実要因は、海外の金融・経済情勢、
とりわけ欧州ソブリン問題の今後の展開」と付け加えた。