景気対応検討チーム初会合、日銀と「警戒感共有」強調

政府は25日朝、景気対応検討チーム(議長:古川元久経済財政担当相)の
初会合を開催し、欧州債務危機などの景気下振れリスクに
「十分警戒する必要がある」との認識を示した上で、
国際金融市場の変動に備えるため、日銀と「警戒感を共有」して
緊密に連携する方針を決めた。

景気対応検討チームは、10月に閣議決定した「円高への総合対応策」や、
2011年度第3次補正予算に盛り込まれた円高対策の進ちょく状況などを
検証する会議。

この日の会合でまとめた「進ちょく評価とマクロ経済政策運営」では、
10月以降に発生した景気のリスク要因として、欧州債務危機
海外景気の下振れ、タイの洪水被害の3点に警戒感を示した。

具体的には、欧州債務危機では「危機が深まれば、
投資家のリスク回避姿勢の高まりを通じて、
為替市場を含む金融・資本市場が
一段と変動する可能性」を指摘。

海外景気については、欧州債務危機の悪化などを背景に
一段と下振れした場合「円高進行と相まって輸出が
減少するおそれ」があること、タイの洪水では
日系企業の収益圧迫や部品供給の停滞で、
日本の生産・輸出に悪影響を与える点に懸念を示した。

その上で、当面の政策運営を
財政と金融、為替の3点に分けて言及。

財政運営戦略で掲げた目標を堅持して健全化に取り組む方針を
掲げたほか、金融政策では日銀に「適切かつ果断な金融政策運営で
経済を下支えするよう期待」を示し、為替市場では
「過度な変動は経済・金融の安定に悪影響を及ぼす」として
「引き続き市場を注視し、適切に対応する」姿勢を重ねて示した。

同時に、国際金融市場の変動に備えるとして
「欧州の政府債務危機を背景とした国際金融市場の
不安定化や日本経済への影響に対しては、政府は日銀と
警戒感を共有し、緊密に連携する」方針を明記。

古川経財相も会合終了後の記者会見で「円高対応策の策定後、
欧州の政府債務危機がイタリアにも波及し、重要な先行き
リスクとなっている」とした上で「政府と日銀との間で
警戒感を共有し、緊密に連携することで認識が一致した」と説明した。

ただ、追加的な対策の必要性については「この対応策を
早期に実行することが肝要。欧州などの不安定な状況は
しっかり注視する」とだけ述べた。

同席した内閣府幹部によると、日銀の山口広秀副総裁は会合の席上、
金融政策について先月決定した追加緩和策の
「効果の浸透を見ていきたい」と表明。

最近の市場動向は「ひとことで言えば、引き続き厳しい」として、
ギリシャ支援の「実行をめぐる不確実性が依然として大きい」こと、
イタリアやスペインでも国債金利が上昇するなど「市場の信認の低下が、
より経済規模の大きな国に飛び火」していていることなどを説明した。

市場では「グローバルな投資家がリスク回避的な姿勢を強め、
世界的な株価下落、米欧での社債スプレッド拡大という形で
現れている」ほか、「相対的に安全と見られる資産には
投資家の買いが集まっており、円も買われやすくなっている」
とも話し、「今後も欧州危機にまつわる状況をきちんとみて、
市場を注視したい」との考えを示したという。

ドイツで23日に行われた国債入札が札割れしたことには
「やや大きく報じられているが、独の国債利回り
なお2%台前半の低い水準にある」と述べた。