イタリアは市場の信頼回復が可能、ユーロ圏解体は問題外=仏中銀総裁

欧州中央銀行(ECB)理事会メンバーであるノワイエ仏中銀総裁は28日、
イタリアの債務は高水準だが、財政規律を示せば、市場の信頼を
回復できるとの認識を示した。

国際通貨基金IMF)とイタリアが支援の可能性を
協議しているとの報道については、コメントする立場にないと述べた。

総裁は、イタリアについて、基礎的財政収支が黒字であり、
産業基盤も強いという事実が市場で見過ごされていると指摘。
ユーロ圏の解体は問題外だと述べた。

総裁は都内で記者団に「イタリア経済は弱いと
見なされるべきではない」と発言。

「ユーロ圏の解体は問題外だ。
プランBは存在しない」と述べた。

フランスの国内銀行については、資金調達で
大きな問題に直面しておらず、2008年に利用された
緊急融資制度を復活させる必要はないと主張。

フランス国債・銀行株の下落は「理に適わない」とも述べ、
フランスの財政状況は他の多くの国に比べ良好だとの見方を示した。

ECBには、ユーロ圏債務危機打開策として
欧州ソブリン債買い入れの大幅拡大が求められているが、
ECB当局者は一貫して拒否している。

ノワイエ総裁はこの日の講演で「その姿勢はいずれ報われると
信じている」と述べ「10年後、どのような環境であっても、
物価安定と本質的な通貨価値の維持という最優先事項をもって
管理された通貨は、市場や貸し手から信頼されるだろう」と語った。

中央銀行が政府債を買い入れている国の利回りは今は低くても、
インフレ環境が変われば不安定になる可能性を指摘。

債券利回りスプレッドの拡大や市場の不透明感の高まりは、
物価安定への下方リスク上昇を意味すると述べた。

総裁は、ユーロ圏債務危機で、政府債務の再編に
民間セクターを参加させたり、銀行に保有ソブリン債
時価評価させることが、意図したわけでないが
さらなる問題を生んだと指摘。

民間投資家を巻き込んだギリシャの債務再編は、
ソブリン債がもはやリスクがゼロでないことを示した、と述べた。