EU諸国のソブリン格付けに対する圧力が増大=ムーディーズ

格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスは28日、
リポートを発表し、ユーロ圏のソブリン及び銀行危機の急速な深刻化が、
欧州連合EU)諸国のすべての信用格付けにとって
脅威になっているとの見解を示した。

リポートは「ムーディーズの中心シナリオは引き続き、
ユーロ圏がこれ以上のデフォルト(債務不履行)の波及なしに
維持されるというものだが、こうした『ポジティブ』な
シナリオでさえ、しばらくの間は格付けに非常に
ネガティブな意味合いを持っている」と分析。

さらに、連続的なショックの後にしか、効果的な
解決策の実施に向けた政治的弾みが生じない
可能性があると指摘した。

ムーディーズは、そうしたショックによって
さらに多くの国々が市場での資金調達手段を失い、
支援プログラムを必要としかねないと警告している。

ムーディーズは、ユーロ圏がより一層の統合か、
さらなる分裂に向かう岐路に近づいているとみている。

ギリシャとイタリアの政局混迷やユーロ圏の経済見通しの
悪化などを反映し、ここ数週間でネガティブシナリオの
確率が高まったと指摘。

「ユーロ圏諸国での複数のデフォルトの可能性は、
もはや無視できない。ムーディーズの見解では、
流動性危機が長引くほど、デフォルトの可能性は
引き続き急速に高まっていく」と予想した。

また、デフォルトによって1カ国以上の加盟国が
ユーロ圏を離脱する確率が高まり、「複数国離脱のシナリオ、
換言すればユーロ圏分裂が起きれば、すべてのユーロ圏及び
EU諸国の信用格付けに悪影響が及ぶ」との見方を示した。

リポートは、近い将来にクレジット市場の環境を安定させる
政治面で有効なイニシアチブが取られるか、市場が何らかの理由で
安定化しない限り、「事態がユーロ圏域内、あるいは
EU域内のムーディーズの格付けの全体構造を
再検討しなければならない段階に達する
公算が大きい」としている。