欧州経済安定すれば、日本経済反映した為替水準に近づく=財務相

安住淳財務相は27日、閣議後の会見で、
低迷する日本の輸出動向は年明けから
上向くとの見通しを示し、欧州経済が安定すれば、
日本経済の実態を反映した
為替水準にも近づくとの認識を示した。

また、社会保障と税の一体改革素案については、
民主党税制調査会の行方を見守りながら
「できるだけ同じタイミングで、政府税調での
素案とりまとめを今月中に行いたい」と述べ、
消費税引き上げ時期や率などを含む年内の
素案策定に揺るぎがないとの認識を示した。

貿易収支は10月、11月と輸出の低迷を背景に
2カ月連続で赤字となり、東日本大震災後の
サプライチェーンの復旧で回復した
輸出動向に腰折れ感が広がっている。

安住財務相円高の影響や欧州経済の不安定さ、
タイ洪水の被害の影響に起因するとしながらも、
「(輸出は)年明けからは、上向き状況に
なるのではないか」と見通した。

被災地の求人動向が上向くなど明るい兆しが見え始めたほか、
来年は復興需要が見込めることなどをあげ、「欧州経済を安定させ、
同時に(輸出が)回復基調にいけば、日本経済の実態を反映した
為替水準にも近づく」と述べ、「そうなるよう
あらゆる手段を講じていきたい」と語った。

消費税増税をめぐる議論は、民主党内の根強い反発で
年内とりまとめに黄色信号が灯ってきた。

八ツ場ダムの建設再開で増税反対派が巻き返し、
民主党税調の意見集約が止まっている。

これに対して安住財務相は「地元で多くの方に
理解が得られないとの気持ちから言っていると
よくわかる」と理解を示しながらも、財政構造上、
増大する社会保障関係費を賄えなくなりつつ
あることは論を待たないと説明。

「結論を先送りしろでは、話が前に進まない」とも指摘し、
「素案をもって選挙区に戻り、つらいことだが、
わかってもらう努力をするのが与党議員として
あるべきだと思う」と訴えた。

消費税引き上げの時期や率を含む素案の年内とりまとめに
変わりないかとの質問に、改めて「是非そうして
もらいたいと思っている」と繰り返した。

日本政府とインド政府が緊急時にドル資金を相互供給する
通貨スワップ協定」について詰めの段階に入っているとし、
きょうからインドを訪問する野田佳彦首相と首脳間で
「合意に至ると期待している」と述べた。

また、首脳会談では、「一層の金融協力や、
公共インフラ整備についての日本の支援スキームを
どうするかも首脳会談の大きなテーマの一つだ」と述べた。