米国が中国を為替操作国と認定せず、一段の改革求める

財務省は27日に公表した半期に一度の主要貿易相手国の
為替政策に関する報告書(為替政策報告書)で、
中国を為替操作国と認定することを見送った。

一方で、人民元改革に向けた動きは
不十分との見方を示した。

財務省は報告書で、為替操作国と認定する条件が
中国に関して当てはまらない、とした。

ただ財務省は、為替報告書公表後に発表した声明で
「これまでの人民元の動きは不十分」とし、
今後も元の上昇ペースを注視するとともに、
一段の弾力化に向けた政策を中国に求める考えを示した。

年初から人民元はドルに対して4%上昇、
2010年6月の人民元の弾力化以降は7.7%上昇している。

米国の対中貿易赤字は2010年には
2731億ドルと過去最高を記録した。

2011年1〜10月の対中貿易赤字の累積は
2455億ドルに達しており、2011年通年は、
過去最高を記録した2010年を上回る見通し。

米上院は今年、中国が市場に基づいた為替相場
採用しない場合に制裁を科すことができる
「対中制裁法案」を可決した。

この法案は下院での成立は不透明で立法化の可能性は低いが、
対中制裁法案は、重要な貿易相手国である中国に対する
米国の不満が高まっていることを示している。

ガイトナー米財務長官は、為替操作国の認定は、
中国に人民元上昇を求めるにはさほど効果がない
との見方を示している。

米国は代わりに、20カ国・地域(G20)などの国際会議の場で、
より柔軟な為替制度への移行を中国に求めてきた。

財務省は1994年7月に中国を為替操作国に認定して以来、
どの国も為替操作国に認定していない。

人民元は27日、ドルに対して下落した。

人民銀行が基準値を最高値に設定したものの、
企業からの強いドル需要に押され、小幅下落した。

市場参加者によると、人民銀行には、通年における
人民元の名目相場の上昇をより大きくみせるため
年末における元相場を少しでも元高にしようとの意図がある。

中国などの新興市場国の競争力が高まるなか、
米国内製造業は苦戦を強いられており、
対中強硬姿勢を政府に求めている。

米国の多くの製造業企業を代表するアメリカ製造業同盟の
エグゼクティブ・ディレクター、スコット・ポール氏は
人民元は依然、非常に過小評価されている」と指摘。

オバマ大統領が中国を為替操作国と6度も認定しなかったことに
失望している。これにより、アメリカの製造業では
何十万もの雇用が失われた」と語った。