政府・日銀、単独為替介入「支持せず」との米報告書を表向き静観

財務省が27日に公表した半年に一度議会に提出している
「国際経済と外国為替に関する報告書」で、日本が
8月以降に実施した単独での為替介入について
「支持しなかった」と明記したことに対して、
政府・日銀は表向き静観の姿勢だ。

ただ米国は事実上のドル安政策を続ける公算が大きいとみられ、
日本が国益と対米関係の微妙なバランスを求められる状況に変わりはなく、
年明け以降も難しい政策判断を迫られる局面がありそうだ。

報告書は8月と10月に日本が単独介入を実施した時期は、
「円・ドルレートの変動幅は、ユーロ・ドルレートよりも
低かった」などと指摘し、東日本大震災直後の3月の日米欧の
協調介入とは対照的に正当化するのは困難だとする立場を示唆した。

これに対して政府高官は28日午前、「市場を注視し、
行き過ぎた動きに対して必要に応じて適切な措置を
取る方針に変わりはない」と記者団に話した。

今後の対応についても「これまでも色々なチャネルで
各国当局とは連絡してきたが、今後もよく連絡していく」と述べた。

米国はこれまでも実質実効為替レートベースで急激に円高
進んでいないと指摘することがあったが、その裏では、
円高により名目ベースで国内物価が下落するデフレが進んでいる。

政府・与党関係者は米国が国内産業政策上の理由で
ドル安政策を進めているのであれば、
日本も何らかの対案が必要と強調する。

ドル/円は78円前後でこう着した状態が続いているが、
市場では米連邦準備理事会(FRB)が今後量的緩和の第3弾
(QE3)に踏み切る可能性を指摘する声が絶えない。

海外通貨当局筋によると、第2弾(QE2)が新興国への
事実上のインフレ輸出となり各国の批判を浴びたため、
米国は欧州金融危機を契機に発動時期を模索するとの観測もある模様。

そのような政策発動がなくとも、債務削減交渉難航による
ギリシャのデフォルト(債務不履行)懸念の再燃や、
ユーロ圏国債の格下げによるリスク回避としての円買いなど、
何らかのショックを契機にリスク回避の円高が再燃する可能性があり、
日本としては円高阻止に向けた為替介入など政策発動に対して
毅然とした姿勢を示す必要がある。